退職金の相場はいくらか(令和5年調査)

最終更新:2026年8月9日/出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」|執筆:瀬尾 健一

定年退職した人の退職金は、大学・大学院卒で平均1,896万円高校卒(管理・事務・技術職)で1,682万円です。
ただし相場を知るだけでは、手元にいくら残るかはわかりません。
このページでは金額を並べたうえで、その額に税金がかかるのかまで退職所得控除と突き合わせて計算しました。

このページの表は、出典を明記していただければ引用いただけます(許諾申請は不要です)。
出典:マネー計算ラボ(https://money.lifeup-lab.com/taishokukin/soba/)
元データは厚生労働省の統計です。調査年(令和5年調査=令和4年1年間の実績)もあわせてご記載ください。
詳しくは運営者情報・引用についてをご覧ください。

学歴別の相場(定年退職)

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」から、定年退職者1人あたりの平均退職給付額です。
退職一時金と企業年金(年金現価額)を合計した金額で、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者が対象です。

学歴・職種1人平均退職給付額退職時の所定内賃金(月額)月収換算
大学・大学院卒(管理・事務・技術職)1,896万円52.6万円36.0か月分
高校卒(管理・事務・技術職)1,682万円43.5万円38.6か月分
高校卒(現業職)1,183万円34.5万円34.3か月分

金額では大学・大学院卒が最も高くなりますが、月収換算では高校卒(管理・事務・技術職)の38.6か月分が最も多いという結果になっています。
退職金は最終的な月給に連動して決まる制度が多いため、月給が高いほど金額も大きくなる一方、月収に対する倍率は学歴でそれほど変わりません。

勤続年数別の相場

同じ定年退職者を、勤続年数で分けた金額です。

勤続年数大学・大学院卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職)
20〜24年1,021万円557万円406万円
25〜29年1,559万円618万円555万円
30〜34年1,891万円1,094万円800万円
35年以上2,037万円1,909万円1,471万円
全体(20年以上)1,896万円1,682万円1,183万円

大学・大学院卒では、勤続20〜24年の1,021万円に対して35年以上は2,037万円で、ちょうど2倍になります。
高校卒(管理・事務・技術職)では557万円→1,909万円と3.4倍で、勤続年数による差がさらに大きく出ています。

この表は「定年退職者」の金額です。途中で自己都合退職した場合の金額ではありません。
同じ勤続年数でも、退職の理由によって金額は変わります(次の項目)。

退職事由別——自己都合は455万円少ない

退職の理由によって、同じ勤続20年以上・45歳以上でも金額が変わります。

退職事由大学・大学院卒
(管理・事務・技術職)
定年との差高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職)
早期優遇2,266万円+370万円2,432万円2,146万円
定年1,896万円1,682万円1,183万円
会社都合1,738万円−158万円1,385万円737万円
自己都合1,441万円−455万円1,280万円921万円

注目したいのは、すべての学歴で「早期優遇」が最も高いことです。
早期退職に応じた人は、定年まで勤めた人より多く受け取っています。
大学・大学院卒で370万円、高校卒(管理・事務・技術職)では750万円多い計算です。

逆に自己都合退職は定年より455万円少なくなります。
多くの企業の退職金規程では、自己都合の場合に支給率を下げる設計になっているためです。

前回調査から減っている

この調査は数年おきに行われています。
前回(平成30年調査)と比べます。

区分(大学・大学院卒)平成30年調査令和5年調査
定年1,983万円1,896万円−87万円
会社都合2,156万円1,738万円−418万円
自己都合1,519万円1,441万円−78万円
勤続35年以上(定年)2,173万円2,037万円−136万円

大学・大学院卒の定年退職で87万円、会社都合では418万円減っています。
一方、高校卒(管理・事務・技術職)の定年は1,618万円→1,682万円と64万円増えており、すべての区分で減っているわけではありません。

ただし金額が同じでも、物価が上がれば実質的な価値は下がります
この調査の金額は名目値なので、その点は割り引いて読む必要があります。

受け取り方の違いで最大767万円変わる

退職金の制度には、一時金として一括で受け取るもの、年金として分割で受け取るもの、その併用があります。
どの形態の制度がある会社かによって、平均額が大きく違います。

学歴・職種退職一時金制度のみ退職年金制度のみ両制度併用最大差
大学・大学院卒(管理・事務・技術職)1,623万円1,801万円2,261万円638万円
高校卒(管理・事務・技術職)1,378万円1,613万円2,145万円767万円
高校卒(現業職)956万円1,451万円1,469万円513万円

いずれの学歴でも「両制度併用」が最も高くなっています。
これは受け取り方を選べるから金額が増えるという意味ではなく、退職金制度を手厚く設計している会社ほど、一時金と年金の両方を用意しているという関係と考えられます。

つまりこの差は「どう受け取るか」ではなく、どういう会社に勤めているかの差です。
自分で選べる部分ではないため、就業規則で自社の制度を確認してください(調べ方)。

そもそも退職金制度がない会社が4社に1社

ここまでの金額は、すべて退職給付制度がある企業の数字です。
制度そのものがない会社も相当数あります。

企業規模(常用労働者)退職給付制度がある制度がない
1,000人以上90.1%8.8%
300〜999人88.8%11.1%
100〜299人84.7%15.1%
30〜99人70.1%29.5%
全体74.9%24.8%

全体では4社に1社(24.8%)に退職給付制度がありません。

従業員30〜99人の企業では約3割(29.5%)にのぼります。

さらに、この割合自体が下がっています。
平成30年調査では80.5%の企業に制度がありましたが、令和5年調査では74.9%へ5.6ポイント減少しました。

産業によって大きく違う

産業退職給付制度がある
複合サービス事業97.9%
鉱業,採石業,砂利採取業97.6%
電気・ガス・熱供給・水道業96.4%
金融業,保険業92.8%
製造業85.6%
卸売業,小売業77.4%
医療,福祉75.5%
情報通信業74.6%
運輸業,郵便業69.9%
サービス業(他に分類されないもの)54.4%
宿泊業,飲食サービス業42.2%

宿泊業・飲食サービス業では、制度がある企業のほうが少数派(42.2%)です。

複合サービス事業(97.9%)とは55.7ポイントの開きがあります。

「併用が高い」のは大企業に多いから

先ほど受け取り方の違いで、両制度併用が最も高いと書きました。
その理由は、制度の形態が企業規模によって大きく違うことにあります。

企業規模退職一時金制度のみ退職年金制度のみ両制度併用
1,000人以上25.9%27.0%47.1%
300〜999人41.9%17.9%40.2%
100〜299人60.3%13.2%26.5%
30〜99人77.2%6.6%16.2%
全体69.0%9.6%21.4%

1,000人以上の企業では47.1%が両制度併用なのに対し、30〜99人では16.2%にとどまります。
逆に30〜99人では77.2%が退職一時金制度のみです。

つまり「両制度併用の平均額が高い」のは、受け取り方が有利だからではなく、併用している企業に大企業が多いからと考えるのが自然です。
この統計には企業規模別の金額が出ていないため断定はできませんが、制度形態と企業規模の関係を見るとその傾向が読み取れます。

この金額に税金はかかるのか

ここがこのページで最も実用的な部分です。
相場を並べている記事は多いのですが、その金額に税金がかかるのかまで計算しているものは多くありません

退職金には退職所得控除があり、勤続年数が長いほど大きくなります。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

この控除額と、先ほどの平均額を突き合わせます。
大学・大学院卒の定年退職者を例に、勤続年数ごとに比べました。

勤続年数退職所得控除平均的な退職金控除を超える分課税対象(退職所得)
22年940万円1,021万円+81万円40万円
27年1,290万円1,559万円+269万円134万円
32年1,640万円1,891万円+251万円126万円
38年(22歳入社・60歳定年)2,060万円2,037万円−23万円0円
43年(22歳入社・65歳定年)2,410万円2,037万円−373万円0円

勤続38年なら、平均的な退職金は退職所得控除に収まって課税されません。

22歳で入社して60歳で定年を迎えた場合がこれにあたります。

「退職金には税金がかかる」という話をよく聞きますが、平均的な金額で長く勤めた場合は、実際にはかからないことが多くなります。
課税されるのは、控除を超えた部分のさらに2分の1だけです(勤続5年以下の一部を除く)。
勤続22年でも、控除を81万円超えた分の半分=40万円が課税対象になるだけで、税額はごくわずかです。

逆に注意が必要なのは、勤続年数が短いのに退職金が多い場合です。
役員退職金や早期優遇のケースでは控除を大きく超えることがあります。

ご自身の金額で計算する場合は退職所得控除の計算シミュレーターをご利用ください。
勤続年数と退職金額を入れるだけで、所得税・住民税と手取り額が出ます。

この統計を読むときの注意点

数字をそのまま自分に当てはめる前に、次の点を確認してください。

注意点内容
対象が限定されているこの調査の退職給付額は勤続20年以上かつ45歳以上の退職者が対象です。勤続5年・10年で辞めた場合の金額は含まれていません
制度がある企業だけの数字退職給付制度がある企業の集計です。制度そのものがない会社は含まれません
平均値である一部の高額な支給に引き上げられている可能性があります。中央値ではありません
企業規模別ではない本ページの数字に大企業・中小企業の区分はありません。規模別のデータは中央労働委員会や東京都の別調査にあります
調査年に注意令和5年調査は令和4年1年間の実績です。最新の支給水準とは差がある可能性があります

とくに1つ目は重要です。
「退職金の相場」として紹介される金額の多くは、定年まで勤め上げた人の数字だと理解しておいてください。
転職を考えている方が同じ金額を期待すると、実際とはかけ離れます。

自分の退職金を調べる方法

相場はあくまで平均です。
実際の金額は会社の規程で決まります。

  1. 就業規則・退職金規程を確認する
    算定方法(基本給連動型・ポイント制・定額制など)と、自己都合の場合の支給率が書かれています。
    労働基準法により、常時10人以上の労働者を使用する事業場は就業規則を作成し、労働者がいつでも確認できる状態にしておく義務があります。
  2. 企業年金の加入状況を確認する
    確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(DC)に加入している場合、退職一時金とは別に受け取れます。
    DCは運用実績で金額が変わるため、加入者サイトで残高を確認できます。
  3. 人事・総務に見込額を聞く
    算定基礎額がわからないと計算できないため、規程だけでは金額が出ないことがあります。
    定年が近い場合、見込額を教えてもらえることが多くあります。
  4. 中退共に加入している場合は照会する
    中小企業退職金共済に加入している会社なら、掛金納付月数から金額が決まります。
    基本退職金額表が公表されているため、自分で計算できます。

金額がわかったら、退職所得控除の計算シミュレーターで手取りを確認してください。

よくある質問

Q. 退職金の相場はいくら?
A. 定年退職者の平均で、大学・大学院卒1,896万円/高校卒(管理・事務・技術職)1,682万円/高校卒(現業職)1,183万円です(厚生労働省・令和5年就労条件総合調査)。
勤続20年以上かつ45歳以上の退職者が対象です。
Q. 勤続年数別ではいくら?
A. 大学・大学院卒の定年退職者で、勤続20〜24年が1,021万円、25〜29年が1,559万円、30〜34年が1,891万円、35年以上が2,037万円です。
35年以上と20〜24年でちょうど2倍の差があります。
Q. 平均的な退職金に税金はかかる?
A. 勤続年数が長ければ、かからないことが多くなります。
勤続38年の退職所得控除は2,060万円で、勤続35年以上の平均額2,037万円を上回るため課税対象はゼロです。
勤続22年の場合は控除940万円に対し平均1,021万円で、超過分の半分(40万円)が課税対象になります。
Q. 自己都合だとどれくらい減る?
A. 大学・大学院卒では、定年1,896万円に対し自己都合は1,441万円で455万円少なくなります。
会社都合は1,738万円で、定年より158万円少ない水準です。
Q. 退職金は減っている?
A. 大学・大学院卒の定年退職では1,983万円→1,896万円と87万円減、会社都合では2,156万円→1,738万円と418万円減っています。
ただし高校卒(管理・事務・技術職)の定年は64万円増えており、すべてが減っているわけではありません。
Q. 早期退職に応じると損?
A. 金額だけを見れば、早期優遇が最も高くなっています(大学・大学院卒で2,266万円=定年より370万円多い)。
ただし早く辞めるぶん、その後の給与収入がなくなります。
総額での比較が必要です。
Q. 大企業と中小企業ではどれくらい違う?
A. このページで使用した厚生労働省の統計には、企業規模別の区分がありません。
規模別のデータは中央労働委員会「賃金事情等総合調査」や東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情」などの別調査にあります。
Q. 勤続10年で辞めた場合の相場は?
A. このページの数字は勤続20年以上かつ45歳以上が対象のため、勤続10年の金額は含まれていません。
就業規則の退職金規程で、自社の算定方法をご確認ください。

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このページの前提(2026年8月9日確認):退職給付額は厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」の第22表・第23表にもとづきます。
調査対象は、退職給付(一時金・年金)制度がある企業のうち、令和4年1年間に勤続20年以上かつ45歳以上の退職者に支給した、または支給額が確定した1人平均額です。
「退職給付額」は、退職一時金制度のみの場合は退職一時金額、退職年金制度のみの場合は年金現価額、両制度併用の場合はその合計です。
退職所得控除との比較は、当サイトが同調査の平均額と現行の控除額(勤続20年超=800万円+70万円×(勤続年数−20年))を用いて計算した試算です。
実際の税額は、同じ年に他の退職金を受け取っているか、過去に退職所得控除を使っているかなどによって変わります。
個別の金額・税額は、勤務先の退職金規程および税務署・税理士にご確認ください。
制度の有無・形態別の企業割合は同調査の第16表によります。
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」同 概況(PDF)

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