傷病手当金の計算シミュレーター

最終更新:2026年8月1日

病気やケガで会社を休んだときにもらえる傷病手当金を、月収を入れるだけで計算します。
令和8年度の標準報酬月額等級表に対応し、社会保険料を引いたあとに手元に残る額まで試算できます。

受け取れる総額(概算)
傷病手当金の日額(1日あたり)
1か月あたりのめやす(30日分)
支給対象になる日数
あてはめた標準報酬月額(等級)
差し引かれる社会保険料(30日あたり)
休業中に手元に残る額(30日あたり)

傷病手当金はいくらもらえる?計算のしくみ

傷病手当金は、健康保険に入っている人が業務外の病気やケガで働けなくなったときに、健康保険から支給されるお金です。
金額は次の3ステップで決まります。

  1. 支給開始日以前の12か月間の標準報酬月額を平均する
    直近1年分の「等級」の平均です。
  2. 平均額 ÷ 30日(10円未満を四捨五入)。
    これが1日あたりの報酬額にあたります。
  3. その額 × 3分の2(1円未満を四捨五入)。
    これが傷病手当金の日額です。

たとえば標準報酬月額の平均が17万円なら、170,000÷30=5,666.67円→5,670円、5,670×2/3=3,780円が1日あたりの金額になります。
この例は協会けんぽが公式サイトに掲載している計算例と同じ値です。

日額が決まるまでの3ステップ(月収30万円の例) STEP 1 標準報酬月額の平均 300,000円 ÷30 10円未満四捨五入 STEP 2 1日あたりの報酬額 10,000円 ×2/3 1円未満四捨五入 STEP 3 傷病手当金の日額 6,667円 30日休むと 6,667円 × 30日 = 200,010円(このうち最初の3日間は待期のため支給対象外)
図1:日額の計算は「÷30」が先で「×2/3」が後。
それぞれの段階で端数処理が入るため、順番を変えると金額がずれます。

「÷30してから2/3」の順番と端数処理に注意

よくある間違いが、月額の3分の2を先に出してから30で割るやり方です。
公式の計算は「÷30(10円未満四捨五入)→ ×2/3(1円未満四捨五入)」の順で、端数処理が2回入ります。
順番を逆にすると数十円ずれることがあり、1年6か月分では数千円の差になります。
このページの計算機は公式と同じ順番・同じ端数処理で計算しています。

加入期間が12か月に満たない場合は「32万円」と比べる

入社してまだ1年経っていないなど、健康保険の加入期間が12か月に満たない場合は、次の2つを比べて低いほうを使います。

つまり月収が高くても、加入して間もない人の日額は320,000÷30=10,670円→×2/3=7,113円が上限になります。
この32万円という数字は年度ごとに見直されるもので、令和7年3月31日以前の支給開始なら30万円でした。
2026年8月1日の時点で協会けんぽが公表している最新の区分は「令和7年4月1日以降=32万円」です。

標準報酬月額とは(月収そのものではない)

計算の土台になる標準報酬月額は、給与明細の額面そのものではありません。
報酬月額を区切りのよい金額に当てはめた「等級」です。
健康保険では第1級(5万8,000円)から第50級(139万円)まで50段階に分かれています。

たとえば月収29万5,000円の人は、報酬月額29万円以上31万円未満の区分に入るので、標準報酬月額は30万円(第22級)になります。
月収30万5,000円の人も同じ第22級です。
逆に月収31万円ちょうどの人は第23級(32万円)に上がります。

この等級は、毎年4〜6月の給与をもとに9月に見直され(定時決定)、大きく給与が変わったときにも見直されます(随時改定)。
傷病手当金の計算では、休む直前の等級ではなく、過去12か月の等級の平均を使う点に注意してください。
昇給したばかりの人は、思ったより低い金額になることがあります。

このページの計算機の前提:入力された月収を令和8年度の等級表にあてはめて標準報酬月額を求め、その等級が12か月続いたものとして計算しています。
実際には過去12か月の等級が変動している場合があるため、正確な金額は加入している健康保険組合・協会けんぽにご確認ください。

月収別の日額・月額 早見表

令和8年度の等級表と公式の計算式をもとに、当サイトで計算した早見表です。
加入期間が12か月以上ある場合の金額を載せています。

月収(額面)標準報酬月額日額30日あたり1年6か月(548日)
15万円150,000円3,333円99,990円1,826,484円
20万円200,000円4,447円133,410円2,436,956円
25万円260,000円5,780円173,400円3,167,440円
30万円300,000円6,667円200,010円3,653,516円
35万円360,000円8,000円240,000円4,384,000円
40万円410,000円9,113円273,390円4,993,924円
45万円440,000円9,780円293,400円5,359,440円
50万円500,000円11,113円333,390円6,089,924円
60万円590,000円13,113円393,390円7,185,924円
70万円710,000円15,780円473,400円8,647,440円
80万円790,000円17,553円526,590円9,619,044円
100万円980,000円21,780円653,400円11,935,440円
月収別の傷病手当金 日額(当サイト計算) 3,33315万 4,44720万 5,78025万 6,66730万 8,00035万 9,11340万 9,78045万 11,11350万 ※ 月収は額面。令和8年度の標準報酬月額等級表にあてはめて計算(加入12か月以上の場合)
図2:月収が上がっても日額は等級ごとの階段状に増えます。
月収25万円と27万円が同じ等級になるなど、同額になる範囲があります。

1年6か月分は「548日×日額」で計算しています。
実際には待期の3日間が支給対象外になるほか、通算のしかたによって日数は変わります。

額面の3分の2でも、手取りでは約8割残る

「給料の3分の2しかもらえない」と聞くと不安になりますが、手取りで比べると差はもっと小さくなります
理由は3つあります。

  1. 傷病手当金は非課税
    所得税も復興特別所得税もかかりません。
  2. 雇用保険料がかからない
    給与が出ていないので天引きもありません。
  3. 厚生年金・健康保険は「加入したまま」
    払い続ける必要はありますが、将来の年金額は減りません。

月収30万円(標準報酬月額30万円・東京都・39歳以下)の人で比べると、次のようになります。

項目働いているとき休業中(傷病手当金)
受け取る額(30日分)300,000円200,010円
健康保険料+子ども・子育て支援金(本人負担)−15,120円−15,120円
厚生年金保険料(本人負担)−27,450円−27,450円
雇用保険料(令和8年度・本人負担0.5%)−1,500円0円
所得税−3,705円0円
手元に残る額252,225円157,440円
働いているとき vs 休業中(月収30万円・東京都・39歳以下) 300,000額面 252,225手取り 働いているとき 200,010額面 157,440手元に残る 休業中(傷病手当金) 額面比 66.7% 手取り比 62.4% ※ さらに前年所得にかかる住民税(月あたり約1万2,000円)が別途かかります
図3:傷病手当金は非課税ですが、健康保険料と厚生年金保険料は休業中も同額を負担します。
そのため手取りで比べた比率は、額面の比率(3分の2)より下がります。

※ 住民税は働いていても休業していても同額かかるため、この比較表からは除いています。
住民税まで含めた手取りは給与手取り計算でご確認ください(同じ条件で月収30万円なら239,465円)。

額面では66.7%ですが、手取りどうしで比べると62.4%です。
「非課税だから手取りベースでは有利になる」と説明されることがありますが、実際には社会保険料が額面の減った収入から同じ額だけ引かれるため、手取り比率はむしろ額面比率より下がります
ここは誤解が多いところなので、休業前に必ず確認してください。

さらに住民税が別にかかります。
住民税は前年の所得に対してかかるため、休業中でも前年に働いていた分の請求が続きます。
給与から天引き(特別徴収)できなくなると、自分で納付書で払う(普通徴収)か、会社が立て替えて後で精算する形になります。
月収30万円クラスなら年間およそ15万円前後、月あたり1万2,000円程度を見込んでおくと安全です。

つまり実際に自由に使えるお金は、額面の55〜60%程度と考えておくのが現実的です。
上の計算機は社会保険料までを差し引いた額を表示しています。

もらえる4つの条件

次の4つをすべて満たすと支給されます。

  1. 業務外の病気やケガで療養している
    仕事中や通勤中のケガは労災保険の対象になるため、傷病手当金は出ません。
  2. 仕事に就くことができない(労務不能)
    判断は医師の意見と本人の仕事内容をもとに、健康保険側が行います。
  3. 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいる
    最初の3日間は「待期」として支給されません。
  4. 休んだ期間に給与の支払いがない
    給与が出ていても傷病手当金より少なければ、その差額が支給されます。

待期3日間のかぞえ方

待期3日のかぞえ方(金曜から休んだ場合) 出勤 待期1日目 待期2日目 待期3日目 支給開始 支給 支給 待期3日間(土日・有給も含む・支給なし) 4日目から支給対象 途中で1日でも出勤すると、待期は最初からかぞえ直しになります
図4:待期は「連続3日」が条件です。
土日をはさめば出勤日を減らさずに待期を終えられます。

待期の3日間には、土日・祝日・有給休暇も含みます
金曜に休んで土日をはさめば、その3日間で待期が完成します。
ただし「連続していること」が条件なので、1日出勤してしまうとカウントはやり直しです。
休み始めの数日は無理をせず連続で休んだほうが、結果的に早く支給が始まります。

いつからいつまでもらえる?

支給が始まるのは、待期3日間が終わった4日目からです。
支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。

2022年1月の法改正で「通算」に変わりました。
それ以前は、途中で復職しても1年6か月のカウントが進み続ける「暦の上での1年6か月」でしたが、現在は実際に受け取った日数だけを積み上げて1年6か月になります。
復職と再休職をくり返す病気の場合、以前より受け取れる日数が増えています。

金額が調整される5つのケース

ケースどうなるか
休んだ日に給与が出た給与が傷病手当金より少ないときのみ、差額が支給されます。
多いときは支給されません
出産手当金を同時に受けられる出産手当金が優先。
傷病手当金のほうが多い場合は差額が支給されます
障害厚生年金・障害手当金を受けている同じ病気やケガが理由なら、年金の日割り額を引いた差額のみ支給されます
労災保険の休業補償給付を受けている原則として傷病手当金は支給されません
退職後に老齢(退職)年金を受けられる資格喪失後の継続給付を受けている場合、年金の日割り額を引いた差額のみ支給されます

退職後も受け取れる?

次の2つを満たせば、退職後も引き続き受け取れます(資格喪失後の継続給付)。

注意したいのが退職日に出勤してしまうケースです。
あいさつ回りや引き継ぎのために出社すると「労務可能だった」とみなされ、継続給付を受けられなくなることがあります。
退職日は休むのが原則と覚えておいてください。

また、退職後に受け取る場合は失業保険(基本手当)と同時には受け取れません
失業保険は「働ける状態」であることが条件、傷病手当金は「働けない状態」であることが条件で、両立しないためです。
働けない期間は、ハローワークで失業保険の受給期間の延長(最長3年)を申請しておくと、回復後に受け取れます。
この延長の申請には期限があるので、退職したらすぐに手続きしてください。

失業保険のほうがいくらになるかは、失業保険(基本手当)計算シミュレーターで確認できます。
退職金にかかる税金は退職金の税金計算で計算できます。

申請の流れと振り込み時期

  1. 勤務先に連絡する
    健康保険組合か協会けんぽの申請書を用意します。
  2. 医師に意見書を書いてもらう
    療養期間が終わってから記入してもらうため、通院時に依頼しておくとスムーズです。
  3. 会社に勤務状況・給与の証明を書いてもらう
  4. 健康保険組合または協会けんぽに提出する

申請から振り込みまでは、書類が受理されてから2週間から1か月程度が目安です。
初回は審査に時間がかかり、1か月半ほどかかることもあります。
休み始めてから最初の入金までは2か月前後の空白ができると考えて、生活費を準備しておくと安心です。

申請は1か月ごとにまとめて行うのが一般的ですが、時効は2年です。
労務不能だった日ごとに、その翌日から2年で権利が消えます。
まとめて後から請求することもできますが、生活資金の確保を考えると1か月単位での申請をおすすめします。

よくある質問

傷病手当金に税金はかかりますか?
かかりません。
所得税・住民税ともに非課税で、確定申告も不要です。
ただし前年の所得にかかる住民税は、休業中も納める必要があります。
アルバイトをしたらどうなりますか?
「労務不能」の条件を満たさなくなるため、原則として支給されません。
本業を休んでいる間に別の仕事をすると、働ける状態だと判断される可能性があります。
必ず健康保険組合に確認してください。
うつ病や適応障害でももらえますか?
もらえます。
業務外の病気であれば、精神疾患も対象です。
ただし仕事が原因と認められる場合は労災保険の対象になり、その場合は傷病手当金ではなく労災の休業補償給付を請求します。
国民健康保険でももらえますか?
もらえません。
傷病手当金は健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)の給付です。
自営業やフリーランスの方が加入する国民健康保険には、原則としてこの制度がありません。
同じ病気で2回目ももらえますか?
通算1年6か月に達していなければ、残りの日数分を受け取れます。
一度1年6か月を使い切った同じ病気では、再度受け取ることはできません。
別の病気やケガであれば、新たに1年6か月の枠が使えます。
退職日に出勤したらどうなりますか?
退職後の継続給付が受けられなくなる可能性があります。
「退職日に労務可能だった」と判断されるためです。
在職中の分は支給されますが、退職日以降は打ち切りになります。
計算の前提(令和8年度対応・確認日2026年8月1日):標準報酬月額の等級は協会けんぽ「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」(PDF)の全50等級を使用。
日額は「標準報酬月額の平均÷30(10円未満四捨五入)×2/3(1円未満四捨五入)」で計算し、協会けんぽの公式計算例(標準報酬月額の平均17万円→日額3,780円)と一致することを確認済みです。
加入期間12か月未満の場合の上限額32万円は、支給開始日が令和7年4月1日以降の区分です(令和8年4月1日以降の金額は2026年8月1日時点で未公表のため、公表され次第更新します)。
手取り試算の保険料率は東京支部の健康保険9.85%・子ども・子育て支援金0.23%(令和8年4月分〜)・介護保険1.62%・厚生年金18.3%を使用し、雇用保険は令和8年度の労働者負担0.5%(厚生労働省)で計算しています。
保険料率は都道府県によって異なるため、東京都以外の方は目安としてご覧ください。
出典:協会けんぽ「傷病手当金」同「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」同「令和8年度保険料額表」
実際の支給可否・金額は加入している健康保険組合または協会けんぽの決定によります。
個別の判断は、加入先の健康保険組合・年金事務所・社会保険労務士にご相談ください。