178万円の壁はいつから?2026年12月の年末調整で戻る金額を年収別に計算

最終更新:2026年8月11日|執筆:瀬尾 健一

所得税がかからない年収の上限が、2026年(令和8年)分から160万円→178万円に上がりました。
ただ、この改正でいちばん見落とされているのは「いつ手取りが増えるか」です。
11月までの給与では税額は1円も変わりません。減税分は12月の年末調整でまとめて戻ります。

先に結論
※源泉徴収票の「支払金額」にあたる額です
※健康保険・厚生年金・雇用保険の合計。空欄のままでも計算できます(年収の15%で概算します)
※配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・iDeCoなど。わからなければ0のままで構いません
2026年12月の年末調整で戻る金額
改正前のルールで計算した所得税(1年分)
改正後のルールで計算した所得税(1年分)
基礎控除(改正前 → 改正後)
給与所得控除(改正前 → 改正後)
1か月あたりに直すと

178万円の壁とは——所得税がかからない年収の上限

178万円の壁とは、給与収入がこの金額までなら所得税がかからないという上限のことです。
長いあいだ103万円で、2025年(令和7年)分から160万円になり、2026年(令和8年)分から178万円になりました。
30年以上ほとんど動かなかった基準が、2年続けて引き上げられたことになります。

この178万円という数字は、2つの控除を足したものです。

178万円の内訳。基礎控除104万円と給与所得控除74万円を足すと178万円になる図
178万円は「基礎控除104万円+給与所得控除74万円」で決まっている
控除の種類改正前(令和8年分)改正後(令和8・9年分)
基礎控除68万円〜95万円104万円
給与所得控除の最低保障額65万円74万円
合計(所得税がかからない上限)178万円

年収178万円ちょうどの人で計算すると、給与所得は178万円−74万円=104万円
そこから基礎控除104万円を引くと課税所得はちょうど0円になります。
「178万円」という数字は、この引き算がぴったり0になる金額として決まっています。

なお、この改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分(2026年1月〜12月)の所得税から適用されます(出典:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」)。
途中から適用されるのではなく、2026年の1年分がまるごと対象です。

いつから手取りが増える?——11月まで1円も変わりません

ここがこの改正でいちばん誤解されている点です。
結論から言うと、2026年11月までの給与では、天引きされる所得税は1円も変わりません

国税庁の資料には、こう明記されています。

令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じません。
令和8年分の給与等の源泉徴収事務においては、令和8年12月に行う年末調整の際に、(中略)1年間の税額を計算し、改正前の「源泉徴収税額表」によって計算した源泉徴収税額との精算を行います。
国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」

毎月の給与から天引きされる所得税は「源泉徴収税額表」という表で決まります。
この表が改正されるのは令和9年(2027年)1月1日以後に支払う給与からです。
つまり2026年中は、1月から11月まで古い表のまま多めに引かれ続けることになります。

2026年1月から11月までは改正前の税額で天引きされ、12月の年末調整で1年分がまとめて精算される流れの図
減税分が手元に戻るのは12月。1〜11月は多めに引かれたままになる
時期何が起きるか
2026年1月〜11月改正前の税額表で天引き。手取りは増えない
2026年12月年末調整で1年分を計算し直し、引かれすぎた分が戻る
2027年1月〜新しい税額表で天引き。毎月の手取りがわずかに増える

言い換えると、2026年12月の給与は「いつもの年末調整」に改正分が上乗せされるということです。
例年より戻る金額が大きくなる年になります。

公的年金を受け取っている人も同じ扱いです。
令和8年12月の年金支払時に1年分の税額を計算し直し、還付すべき金額があれば年金の支払者から還付されます。

戻る金額は年収で4.5倍違う——最大は年収500万〜665万円

「年収が高い人ほど得をする」と思われがちですが、この改正はそうなっていません。
いちばん戻るのは年収500万〜665万円の人で36,756円。年収700万円の人は8,168円で、その差は4.5倍です。

理由は基礎控除の上がり幅にあります。
基礎控除は全員が同じ額だけ上がったわけではなく、所得の区分ごとに上がり幅が違います。

合計所得金額給与だけの場合の年収改正前改正後上がり幅
132万円以下206万円以下95万円104万円+9万円
132万円超336万円以下206万円超475万1,999円以下88万円104万円+16万円
336万円超489万円以下475万1,999円超665万5,556円以下68万円104万円+36万円
489万円超655万円以下665万5,556円超850万円以下63万円67万円+4万円
655万円超2,350万円以下850万円超2,545万円以下58万円62万円+4万円

年収475万円〜665万円のゾーンだけ、控除が68万円から104万円へ一気に36万円上がります。
ここを1円でも超えると上がり幅は4万円に落ちます。

年収別の減税額の棒グラフ。年収500万から665万で36,756円と最大になり、700万を超えると8,168円に下がる
年収600万円の人と700万円の人では、戻る金額が28,588円違う

金額に直すとこうなります。

年収12月に戻る金額基礎控除の上がり幅
178万円以下0円もともと所得税がかからない
200万円3,573円+9万円
300万円8,168円+16万円
400万円8,168円+16万円
500万円27,567円+36万円
600万円36,756円+36万円
650万円36,756円+36万円
700万円8,168円+4万円
800万円8,168円+4万円
1,000万円8,168円+4万円

※扶養親族なし・社会保険料は年収の15%として計算。復興特別所得税2.1%を含みます。実際の金額はご自身の社会保険料や他の控除で変わるので、上の計算ツールに実額を入れてお確かめください。

年収600万円の人が36,756円、年収700万円の人が8,168円
100万円多く稼いでいる人のほうが、28,588円も戻りが少ないという結果になります。

なぜこうなるかというと、基礎控除の上がり幅(36万円と4万円で9倍の差)が、税率の差(20%と23%)よりずっと大きいからです。
年収400万円と600万円で戻る額が違うのも同じ理由で、こちらは控除の上がり幅(16万円と36万円)に加えて、かかっている税率も違います。

「178万円まで働ける」は半分間違い——扶養の上限は136万円

「壁が178万円になったから、そこまで働いて大丈夫」という説明を見かけますが、これは本人に所得税がかかるかどうかの話だけです。
親や配偶者の扶養に入れるかどうかは、別の基準で決まります。

改正後の基準を並べると、こうなります。

何の基準か合計所得金額給与だけの場合の年収
自分に所得税がかからない上限178万円
扶養親族・同一生計配偶者になれる上限62万円以下136万円
特定親族(19歳以上23歳未満)62万円超123万円以下136万円超197万円以下
配偶者特別控除の対象になる配偶者62万円超133万円以下136万円超207万円以下
勤労学生控除89万円以下163万円以下

たとえば、大学生の子どもが年収170万円まで稼いだとします。
本人に所得税はかかりません(178万円以下だから)。
しかし136万円を超えているので、親は扶養控除を満額では受けられません
この場合は特定親族特別控除という別の控除に切り替わり、金額は段階的に下がっていきます。

配偶者の場合も同じで、136万円を超えると配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わり、207万円を超えるとどちらも受けられなくなります。

覚え方
178万円=自分の所得税が0になるライン
136万円=家族の扶養に入っていられるライン
この2つは別物です。世帯の手取りで考えるなら、見るべきは136万円のほうです。

なお、この所得要件の改正が適用されるのは令和8年12月1日以後に支払う給与からです。
改正によって新しく扶養親族の要件を満たすことになった家族がいる場合は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に出す必要があります
出し忘れると、その年の年末調整では控除を受けられません。

税金の壁と社会保険の壁は別物——106万円は2026年10月になくなります

ここまでは所得税の話です。
手取りに効くもう1つの基準が社会保険の壁で、こちらは制度がまったく別です。
税金は超えた分にだけ少しずつかかりますが、社会保険は超えた瞬間に保険料の負担が始まるため、手取りへの影響はこちらのほうが大きくなります。

何の基準か2026年の状況
106万円勤務先で社会保険に入る基準のひとつ(月額8.8万円以上)🔴 2026年10月に撤廃
130万円家族の健康保険の扶養から外れる基準そのまま残る
136万円税金上の扶養(扶養控除・配偶者控除)の上限改正で123万円から引き上げ
178万円自分に所得税がかかり始める額改正で160万円から引き上げ

厚生労働省は、いわゆる「年収106万円の壁」として意識されていた月額8.8万円以上という要件を、2026年10月に撤廃すると公表しています。
最低賃金が上がったことで、週20時間以上働けば自動的にこの金額を超えるようになり、賃金要件を意識する必要がなくなったことが理由です。

つまり2026年10月以降、社会保険に入るかどうかの判断は「いくら稼いだか」ではなく「週に何時間働いたか」に変わります。
週20時間以上働くなら、勤務先の規模にかかわらず加入することになります(企業規模の要件も2027年10月から段階的に撤廃されます)。

なお、従業員50人以下の会社などで新しく加入対象になり、標準報酬月額が12.6万円以下の場合は、3年間だけ保険料の負担を軽くする特例が用意されています。

2026年に起きること(まとめ)
12月:所得税の壁が178万円に。年末調整で1年分の減税が戻る
10月:社会保険の106万円という基準がなくなり、判断軸が「週20時間」に変わる
働く時間を決めるなら、年収より先に週の労働時間を見るほうが実態に合う年になります。

住民税はいつ変わる?——反映は2027年6月から

住民税にも同じ見直しが入りますが、金額も時期も所得税とは違います

所得税住民税
基礎控除104万円62万円(58万円から引き上げ)
給与所得控除の最低保障額74万円69万円(65万円から引き上げ)
いつ反映されるか2026年12月の年末調整令和9年度分=2027年6月から納める分

住民税は「前の年の所得」に対してかかり、その年の6月から翌年5月にかけて納めます。
2026年分の所得に対する住民税は令和9年度分となるため、実際に金額が変わるのは2027年6月からの給与天引きです。

総務省の資料にも「見直し初年は、月次の源泉徴収等では対応せず年末調整からの対応とする」と書かれており、所得税と同じく毎月の天引きは後追いで直される形になっています。

住民税がかからない年収のライン(非課税限度額)は、お住まいの自治体や家族構成によって変わります
178万円は所得税の基準なので、この金額まで働いても住民税は発生することがあります。正確な金額はお住まいの市区町村にご確認ください。

パート・学生・年金受給者はどうなる

パート・アルバイトで働く人

年収178万円までは自分に所得税がかかりません。
ただし配偶者の扶養に入ったままでいたいなら136万円が上限健康保険の扶養なら130万円が基準です。
さらに2026年10月からは、年収に関係なく週20時間以上働けば社会保険に加入することになります。

働く時間を抑えて手取りを守るという考え方そのものが、2026年から通用しにくくなります。
加入すれば保険料の負担は増えますが、将来の年金は増え、傷病手当金なども使えるようになります。

大学生・専門学生

勤労学生控除の基準も上がり、年収163万円以下であれば勤労学生控除を受けられます(改正前は150万円)。
ただし親の扶養から外れるかどうかは136万円が基準で、こちらは勤労学生控除とは無関係です。
19歳以上23歳未満の学生の場合、136万円を超えても197万円までは特定親族特別控除で親の税負担がやわらぐしくみになっています。

年金を受け取っている人

公的年金にも同じ改正が入ります。
年金から天引きされている所得税は、令和8年12月の年金支払時に1年分を計算し直し、引かれすぎていた分が年金の支払者から還付されます。
給与と同じく、11月までの天引き額は変わりません。

12月までにやっておくこと

ほとんどの人は勤務先が自動で計算してくれるので、特別な手続きはいりません。
ただし1つだけ、出し忘れると損をする書類があります。

改正で新しく扶養に入れる家族がいる場合は申告書の提出が必要
扶養の基準が年収123万円から136万円に上がったことで、これまで扶養から外れていた家族が対象になることがあります。
この場合は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に出さないと、年末調整で控除を受けられません。

該当しやすいのは、年収が123万円〜136万円のあいだにいる配偶者や子どもです。
去年は「扶養に入れない」と言われていた人が、今年から入れるようになっているかもしれません。
勤務先から年末調整の書類を渡されたら、家族の年収を確認してから記入してください。

会社員以外の人は、確定申告で改正後の控除額を使って計算します。

よくある質問

Q. 12月の給与は本当に増えますか?

年末調整で還付が出れば増えます。
ただし年末調整は生命保険料控除なども合わせて精算するため、人によっては追加で徴収されることもあります。
この改正による部分だけを取り出せば必ずプラスですが、年末調整の合計額がプラスになるとは限りません。

Q. 年収178万円ちょうどだと、いくら税金がかかりますか?

所得税は0円です。
給与所得は178万円−74万円=104万円、そこから基礎控除104万円を引くと課税所得がちょうど0円になります。
住民税は別の基準なので、かかる可能性があります。

Q. 178万円を1円でも超えたら、大きく損をしますか?

いいえ。超えた分にだけ税率5%(+復興特別所得税)がかかります。
年収179万円なら所得税は数百円程度です。
「壁を超えると手取りが減る」という現象が起きるのは、社会保険の加入で保険料が発生するときで、所得税では起きません。

Q. 共働きで2人とも年収600万円なら、世帯で7万円以上戻りますか?

おおよそその通りです。
この改正は1人ずつ計算されるので、2人ともが年収500万〜665万円の範囲にいれば、それぞれ36,756円ずつ戻る計算になります。

Q. 自営業・フリーランスも対象ですか?

基礎控除の引き上げは対象です。
ただし給与所得控除は給与をもらっている人のための控除なので、事業所得だけの人には関係ありません。
精算は年末調整ではなく確定申告で行います。

Q. 2027年以降も178万円のままですか?

令和10年分以後は、基礎控除の本則が62万円に戻る予定です(令和8・9年分は特例的に上乗せされています)。
ただし今回の改正では物価の上昇率に連動して控除額を見直すしくみが作られたため、物価が上がれば控除額も見直されることになります。

まとめ

ご自身の金額は、このページ上部の計算ツールに年収と社会保険料を入れると確認できます。
月々の手取りそのものを確かめたい場合は給与手取り計算シミュレーターを、年末調整で戻る金額全体を知りたい場合は年末調整の還付金はいつ・いくら戻るかをあわせてご覧ください。

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戻ってきたお金を、そのまま使ってしまわないために

年末調整で戻る金額は、多くの人にとって1年で一度だけまとまって入るお金です。
ただ12月の給与に紛れて振り込まれるため、戻ってきた実感がないまま使ってしまうことがほとんどです。
金額が分かっている今のうちに、置き場所を決めておくと残ります。
家計の組み立て方を最初から学べる無料のマネーセミナーがあります。参加費は無料で、その場で契約を求められるものではありません。

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本ページの年収別の減税額(年収500万〜665万円で36,756円、年収700万円で8,168円)および基礎控除の区分別の上がり幅は、国税庁の公表資料をもとに当サイトが計算したものです。
出典として「マネー計算ラボ」とこのページのURLを明記していただければ、記事・資料・SNSでご自由にお使いいただけます。

出典(一次情報)

最終更新:2026年8月11日