退職所得控除の計算シミュレーター

最終更新:2026年8月5日|執筆:瀬尾 健一

退職金の額面と勤続年数を入力するだけで、所得税・住民税と手取り額を計算します。
退職所得控除は自動で計算されます。

このページの早見表(勤続年数別の退職所得控除と手取り)は、出典を明記していただければ引用いただけます(許諾申請は不要です)。
出典:マネー計算ラボ(https://money.lifeup-lab.com/taishokukin/)
数値は税率・保険料率・給付額の改定で変わるため、各ページに記載している確認日もあわせてご記載ください。
詳しくは運営者情報・引用についてをご覧ください。
手取り額(概算)
退職所得控除額
課税退職所得金額
所得税(復興特別所得税込み)
住民税(10%)
税金合計

退職金の税金の計算方法

退職金にかかる税金(所得税・住民税)は、給与とは分けて計算される「分離課税」です。
長年の勤務に対する一時金という性格から、次の3段階の優遇があり、給与で同じ額を受け取るよりも税負担は大幅に軽くなります。

  1. 退職所得控除:勤続年数に応じた金額が丸ごと非課税になる
  2. 2分の1課税:控除後の残りの半分だけが課税対象になる
  3. 分離課税:他の所得と合算されないため、税率が上がりにくい
退職金の税金が決まるまでの3ステップを示した図。ステップ1で勤続年数に応じた退職所得控除を引き、ステップ2で残りを2分の1にし、ステップ3で分離課税として所得税と住民税を計算する。勤続30年で2,000万円を受け取った場合、税金は合計405,702円で税負担率は2.0%になる。
退職金の税金が決まるまでの3ステップ。控除・2分の1課税・分離課税の3つが重なるため、給与で同じ額を受け取るより税負担は軽くなる(当サイト作成)

ステップ1:退職所得控除額を計算する

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(80万円未満のときは80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

例:勤続30年なら 800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円までは税金がかかりません。

ステップ2:課税退職所得金額を計算する

(退職金の額面 − 退職所得控除額)× 1/2 が課税対象です(1,000円未満切り捨て)。

ステップ3:所得税・住民税を計算する

課税退職所得金額に、所得税の速算表を当てはめます。
所得税には復興特別所得税(2.1%)が上乗せされます。
住民税は一律10%です。

課税退職所得金額税率控除額
195万円未満5%0円
195万〜330万円未満10%97,500円
330万〜695万円未満20%427,500円
695万〜900万円未満23%636,000円
900万〜1,800万円未満33%1,536,000円
1,800万〜4,000万円未満40%2,796,000円
4,000万円以上45%4,796,000円

勤続年数別・退職金額別の早見表

上のシミュレーターと同じ計算式で、代表的なパターンを先に計算しました。
自分に近い行を見れば、入力しなくてもおおよその金額がつかめます。

勤続年数ごとの「非課税になる上限額」

退職金がこの金額以下なら、税金は1円もかかりません。

勤続年数退職所得控除額(=非課税の上限)
5年200万円
10年400万円
15年600万円
20年800万円
25年1,150万円
30年1,500万円
35年1,850万円
38年2,060万円
40年2,200万円

勤続20年を境に、1年あたりの控除額が40万円から70万円に増えます。
長く勤めるほど1年あたりの優遇が大きくなる仕組みです。

勤続年数別の退職所得控除額を示した棒グラフ。5年200万円から40年2,200万円まで増加し、20年を境に1年あたりの増え方が40万円から70万円に変わることを示している。
勤続年数ごとの非課税上限額。20年を超えると1年あたりの控除額が70万円に増えるため、グラフの傾きが急になる(当サイト試算)

退職金2,000万円のとき、勤続年数でいくら変わるか

勤続年数控除額所得税住民税手取り
20年800万円788,722円600,000円1,861万円
25年1,150万円431,372円425,000円1,914万円
30年1,500万円155,702円250,000円1,959万円
35年1,850万円38,287円75,000円1,989万円
38年2,060万円0円0円2,000万円

同じ2,000万円でも、勤続20年と38年では手取りが139万円違います
勤続38年以上なら控除額が退職金を上回るため、全額が非課税です。

退職金2,000万円を受け取ったときの手取り額を勤続年数別に比較した横棒グラフ。勤続20年は手取り1,861万円で税金139万円、勤続38年は全額非課税で2,000万円がそのまま手取りになる。
退職金の額が同じでも、勤続年数が長いほど税金は小さくなる。勤続38年で税金はゼロになる(当サイト試算)

勤続30年のとき、退職金額でどれだけ税金がかかるか

退職金課税対象税金合計手取り税負担率
1,000万円0円0円1,000万円0%
1,500万円0円0円1,500万円0%
2,000万円250万円405,702円1,959万円2.0%
2,500万円500万円1,084,522円2,392万円4.3%
3,000万円750万円1,861,869円2,814万円6.2%

3,000万円受け取っても税負担率は6.2%です。
同じ額を給与でもらえば税率は40%を超えるため、退職金の優遇がいかに大きいかがわかります。

勤続30年で退職金を受け取ったときの税負担率を金額別に示した棒グラフ。1,000万円と1,500万円は税金ゼロ、2,000万円で2.0%、2,500万円で4.3%、3,000万円でも6.2%にとどまる。
退職金の額が増えても税負担率は緩やかにしか上がらない。勤続30年なら1,500万円までは税金がかからない(当サイト試算)

2026年1月から変わる点(確定拠出年金との併用)

2026年(令和8年)1月1日以降に支払を受けるものから、確定拠出年金の一時金と会社の退職金を両方受け取る場合のルールが変わります

これまでは、確定拠出年金の一時金を受け取ったあと5年あければ、会社の退職金で退職所得控除をあらためて満額使えました。
この期間が10年に延びます。

受け取る順番あける必要がある期間根拠
確定拠出年金の一時金 → 会社の退職金10年(前年以前9年内は調整対象)2026年1月1日以後の支払分から
会社の退職金 → 確定拠出年金の一時金20年(前年以前19年内は調整対象)従来どおり

調整対象になると、重複する勤続期間の分だけ退職所得控除が減ります
控除が減れば課税対象が増えるため、手取りも減ります。

確定拠出年金の一時金と会社の退職金を受け取る間隔のルール変更を示した図。2025年12月31日までの支払分は5年あければ退職所得控除を満額使えたが、2026年1月1日以後の支払分は10年に延びる。逆の順番は従来どおり20年。
2026年1月1日以後の支払分から、確定拠出年金の一時金を先に受け取った場合にあける期間が5年から10年に延びる(国税庁タックスアンサーNo.2732をもとに当サイト作成)

iDeCoや企業型DCを一時金で受け取る予定があり、会社の退職金も近い時期に受け取る場合は、受け取る順番と間隔で手取りが変わります
金額が大きくなりやすい部分なので、実際の判断は税務署または税理士にご確認ください。

退職金の相場

自分の退職金が多いのか少ないのか、判断の材料になる公的な調査結果です。

厚生労働省「令和5年 就労条件総合調査」では、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で勤続35年以上の定年退職者の退職給付額は平均1,896万円でした。

退職金の額は、勤続年数・企業規模・退職理由(定年か自己都合か)で大きく変わります。
一般に自己都合退職は会社都合より支給率が低く設定されていることが多く、同じ勤続年数でも金額に差が出ます。

ただしこれはあくまで平均です。そもそも退職金制度がない会社もあります
自分の会社に制度があるか、いくらもらえるかは、就業規則か退職金規程で確認してください。

退職金の受け取り方(一時金・年金・併用)

退職金は「一時金」で一括受け取るか、「年金」で分割受け取るかを選べる会社があります。
どちらを選ぶかで税金の計算方法がまったく変わります。

受け取り方税金の扱い特徴
一時金退職所得(分離課税)退職所得控除と2分の1課税が使えるため、税負担が軽い
年金雑所得(公的年金等控除)公的年金と合算されるため、他の収入次第で税・社会保険料が増えることがある
併用両方一時金部分は退職所得、年金部分は雑所得として計算する

本ツールが計算しているのは一時金で受け取った場合です。
年金で受け取る場合は、受取期間中の他の所得や社会保険料への影響も含めて比較する必要があります。

確定申告が必要なケース・不要なケース

退職金は他の所得と分けて課税される(分離課税)ため、多くの人は確定申告をしなくても手続きが完了します
ただしそれは、ある1枚の書類を出している場合だけです。

「退職所得の受給に関する申告書」を出したかどうかで決まる

この申告書を勤務先に提出していれば、勤務先が退職所得控除と2分の1課税を反映した正しい税額を計算して源泉徴収します。
国税庁も「退職所得の金額に応じた所得税等の額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません」と明記しています。

提出していない場合の扱いはまったく違います。
控除を一切考慮せず、支払金額に一律20.42%を掛けた額が源泉徴収されます。
退職所得控除を使えば非課税になるはずの人からも、いったん2割強が引かれることになります。

申告書の提出源泉徴収のされ方確定申告
提出した退職所得控除と2分の1課税を反映した正しい税額原則不要
提出しなかった支払金額 × 一律20.42%必要(申告すれば精算される)
提出しないまま退職した場合でも、払いすぎた分は戻ります。
国税庁は「受給者本人が確定申告を行うことにより所得税額および復興特別所得税額の精算をします」としています。
退職の翌年に確定申告をすれば、申告書を出した場合と同じ計算で精算されます。気づいた時点で申告すれば取り戻せるということです。

提出していても、確定申告したほうが得なケース

申告書を出していて確定申告が不要な場合でも、次に当てはまるなら申告する価値があります。

退職した年は収入の形が普段と変わるため、確定申告をすると戻ってくる人が多い年です。
退職金そのものの税金だけでなく、給与側の精算もあわせて確認してください。

よくある質問

Q. 退職金に確定申告は必要ですか?
A. 勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、正しい税額が源泉徴収されるため原則確定申告は不要です。
提出していない場合は一律20.42%が源泉徴収されるため、確定申告で精算すると還付されることがあります。
Q. 勤続年数に端数がある場合は?
A. 1年未満の端数は切り上げます。
勤続10年と1日でも「11年」として退職所得控除を計算します。
Q. iDeCoの一時金受け取りにもこの計算は使えますか?
A. iDeCoを一時金で受け取る場合も退職所得として同じ計算式が使われます。
ただし勤続年数の代わりに「加入年数」を使う点と、会社の退職金と受け取り時期が近い場合は控除枠が調整される点にご注意ください。
Q. 障害が原因で退職した場合は?
A. 障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、退職所得控除額に100万円が加算されます(本ツールでは未対応のため、控除額に100万円を足してお考えください)。

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退職金を受け取ったあと、どこに置くかで手取りは変わります

ここまでで計算したのは受け取るまでの税金です。
問題はそのあとで、まとまった資金をそのまま預金に置くか、分けて運用するかで、10年後の金額は変わります。
退職金は人生で数回しかない大きな入金なので、判断を誤ると取り返す機会がありません。
お金の置き方を体系的に学べる無料のマネーセミナーがあります。参加費はかからず、その場で契約を求められるものでもありません。

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計算の前提(2026年8月5日時点):本ツールは国税庁タックスアンサー「No.1420 退職金を受け取ったとき」(令和7年4月1日現在法令等)の計算方法にもとづく概算です。
住民税は市町村民税6%+道府県民税4%の合計10%で計算しています。
ページ内の早見表は、上のシミュレーターと同じ計算式で当サイトが算出した数値です(1,000円未満切り捨て・復興特別所得税2.1%込み)。
確定拠出年金との併用ルールの変更(前年以前9年内・2026年1月1日以後の支払分)は、国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」の記載にもとづきます。
退職金の相場は厚生労働省「令和5年 就労条件総合調査」の公表値です。
本ツールは障害退職による100万円加算には対応していません。
個別の事情により実際の税額と異なる場合があります。最終的な判断は税務署または税理士にご確認ください。

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