失業保険の「期間」は2つある
▶ 特定理由離職者に当たるかで日数が変わります。日数が増える人と増えない人 で判定できます。
▶ 認定日ごとに必要な求職活動の回数は 失業保険の求職活動実績は何回必要? をご覧ください。
「失業保険の期間」と検索したとき、探しているものは2つのどちらかです。
ひとつは何日分もらえるか、もうひとつはいつまでに受け取らないといけないかです。
この2つは別の条文で決まっていて、混ざると計算が合わなくなります。
| 呼び方 | 意味 | 範囲 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 所定給付日数 | 基本手当を受け取れる日数 | 90日〜360日 | 雇用保険法22条・23条 |
| 受給期間 | その日数を消化できる期限 | 原則1年(例外あり) | 雇用保険法20条 |
ここで注意したいのは、受給期間は「1年間もらえる」という意味ではないことです。
「1年以内なら受け取ってよい」という期限を示しているだけで、実際にもらえるのは所定給付日数の分だけです。
逆に、日数が残っていても期限が来れば打ち切りになります。
たとえば所定給付日数が270日の人は、日数だけで約8ヶ月半かかります。
離職から3ヶ月たってから手続きすると、1年の期限に間に合いません。
この「取りこぼし」がどれくらいの人に起きるのかを、次の章から具体的な日数で見ていきます。
なお、1日あたりいくらもらえるかは失業保険の計算シミュレーターで計算できます。
このページは日数と期限に絞って解説します。
所定給付日数の早見表——退職理由で最大4倍変わる
もらえる日数は、退職理由・年齢・雇用保険の加入年数の3つで決まります。
いちばん効くのは退職理由です。
同じ45歳・加入20年でも、自己都合なら150日、会社都合なら330日で2.2倍ちがいます。
最小の90日と最大の360日で比べれば4倍です。
自己都合で辞めた場合(年齢は関係ない)
自分の意思で辞めた場合は、年齢に関係なく加入年数だけで決まります。
3段階しかないため、ここは覚えやすい部分です。
| 加入年数(算定基礎期間) | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
加入20年で150日ですから、20年働いても5ヶ月分です。
次に見る会社都合と比べると差の大きさがわかります。
会社都合で辞めた場合(年齢×加入年数)
倒産・解雇などで辞めた人(特定受給資格者)は、年齢と加入年数の組み合わせで決まります。
働き盛りで長く加入している人ほど手厚くなる設計です。
| 離職時の年齢 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 180日 |
| 30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
法律(雇用保険法23条1項5号)では、30歳未満の特定受給資格者について加入5年以上の区分しか定めていません。
加入1年以上5年未満の場合は一般の離職者と同じ90日になります。
また加入1年未満の場合は、年齢にかかわらず90日です。
最大は45歳以上60歳未満で加入20年以上の330日です。
60歳を超えると240日に下がる点は見落とされがちです。
定年前後で辞め方を考えている人は、この段差を知っておく価値があります。
契約が更新されなかった場合(特定理由離職者)
契約社員などで、更新を希望したのに更新されなかった人は「特定理由離職者」にあたります。
この人たちは、会社都合の人と同じ日数が適用されます。
ただしこれは恒久的な制度ではありません。
雇用保険法の附則第4条による暫定措置で、対象は離職日が令和9年3月31日までの人と定められています。
「契約更新なしは会社都合と同じ」と説明している記事は多いのですが、期限つきの措置である点まで書いているものは多くありません。
就職が困難な人の場合
障害者手帳をお持ちの方などは、別の日数が定められています。
| 離職時の年齢 | 加入1年未満 | 加入1年以上 |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
最長の360日はここに出てきます。
そして次の章で見るように、この表の300日という数字が、いちばん期限の厳しい組み合わせになります。
受給期間は原則1年。延長される人とされない人がいる
所定給付日数を消化できる期限が受給期間です。
原則は離職日の翌日から1年と決められています(雇用保険法20条1項1号)。
ただし、日数が長い人には例外が用意されています。
| 対象 | 受給期間 | 根拠 |
|---|---|---|
| ほとんどの人 | 1年 | 20条1項1号 |
| 所定給付日数360日の人(就職困難・45歳以上65歳未満) | 1年+60日 | 20条1項2号 |
| 所定給付日数330日の人(会社都合・45歳以上60歳未満・加入20年以上) | 1年+30日 | 20条1項3号 |
ここに抜けている数字があります。
360日と330日には延長があるのに、300日の人(就職が困難な45歳未満の人)には延長がありません。
270日・240日の人も同じく1年のままです。
いつまでに手続きすれば満額もらえるか
受給期間の中に、待期7日と所定給付日数を全部おさめる必要があります。
そこから逆算すると、手続きの期限が出ます。
満額もらうための申請期限 = 受給期間 − 待期7日 − 給付制限 − 所定給付日数
会社都合の人には給付制限がないため、次のようになります。
数字は離職日の翌日から数えた日数です。
| 所定給付日数 | 受給期間 | 満額に必要な申請期限 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 360日 | 1年+60日 | 58日以内 | 約2ヶ月 |
| 330日 | 1年+30日 | 58日以内 | 約2ヶ月 |
| 300日 | 1年(延長なし) | 58日以内 | 約2ヶ月 |
| 270日 | 1年 | 88日以内 | 約2ヶ月28日 |
| 240日 | 1年 | 118日以内 | 約3ヶ月28日 |
| 180日 | 1年 | 178日以内 | 約5ヶ月27日 |
| 120日 | 1年 | 238日以内 | 約7ヶ月26日 |
| 90日 | 1年 | 268日以内 | 約8ヶ月25日 |
この表でいちばん伝えたいのは、360日・330日・300日の3つがそろって58日になることです。
360日と330日は受給期間が延長されるぶん余裕ができ、300日は日数が短いかわりに延長がありません。
結果として、手厚い人ほど手続きを急ぐ必要があるという関係になります。
逆に、90日の人には8ヶ月以上の余裕があります。
「早く手続きしないと損」と一律に言われがちですが、実際に急ぐ必要があるのは日数が長い人だけです。
手続きが遅れても失業保険そのものは受け取れます。
受け取れなくなるのは受給期間を過ぎた日の分です。
たとえば270日の人が離職の翌日から120日後に手続きすると、期限まで238日しか残らず、32日分が受け取れません。
基本手当日額が8,000円なら256,000円になります。
自己都合の人は給付制限のぶん、期限が早まる
自己都合で辞めた人には、待期7日のあとに給付制限があります。
その期間も受給期間を消費するため、申請期限は前倒しになります。
| 所定給付日数 | 給付制限1ヶ月の場合の申請期限 |
|---|---|
| 150日(加入20年以上) | 178日以内 |
| 120日(加入10年以上20年未満) | 208日以内 |
| 90日(加入10年未満) | 238日以内 |
自己都合の日数は最大でも150日なので、半年近い余裕があります。
「自己都合は不利」と言われますが、こと期限に関しては自己都合のほうが余裕があります。
雇用保険法33条3項に、給付制限+所定給付日数などの合計が受給期間を超えるときは、超えた分だけ受給期間を延ばすという規定があります。
ただし自己都合の所定給付日数は最大150日なので、給付制限が3ヶ月あってもこの規定に届きません。
実際に発動するのは、就職が困難な人(360日)が給付制限を受けた場合などに限られます。
いつから振り込まれる?待期7日と給付制限
手続きをしても、すぐには振り込まれません。
全員に共通する待期と、退職理由によって加わる給付制限の2段階があります。
待期7日は全員に必要
ハローワークで求職の申し込みをした日以後、失業している日が通算7日に達するまでは支給されません(雇用保険法21条)。
会社都合でも自己都合でもこれは同じです。
「7日間の待期」と呼ばれるものです。
自己都合の給付制限は原則1ヶ月に短縮された
正当な理由なく自己都合で退職した場合は、待期のあとに給付制限があります。
法律上は1ヶ月以上3ヶ月以内でハローワーク所長が定める期間と幅を持たせて定められています(雇用保険法33条1項)。
この運用が、2025年4月から原則1ヶ月になりました。
それ以前は原則2ヶ月だったため、初回の振込が1ヶ月早まったことになります。
3ヶ月のままになるケース
短縮されない例外があります。
- 5年間に3回以上、正当な理由のない自己都合退職をしている場合
- 自分の重大な責任による解雇(重責解雇)の場合
短期間に退職を繰り返している人は、給付制限が長くなる設計になっています。
教育訓練を受けると給付制限がなくなる
雇用保険法33条1項のただし書きに、給付制限が適用されない人が並んでいます。
そのひとつが教育訓練を受ける場合です。
- ハローワークの指示した公共職業訓練を受ける場合
- 離職日前1年以内に、教育訓練給付の対象となる教育訓練を受けたことがある場合
- 離職日以後にその訓練を受ける場合
2つ目は見落とされやすい規定です。
辞める前に受けた講座でも、給付制限がなくなる可能性があります。
退職を考えている段階で、対象講座を受けておく価値がある理由がここにあります。
実際の初回振込までの流れ
| 時期 | 会社都合 | 自己都合(給付制限1ヶ月) |
|---|---|---|
| 離職〜離職票の受け取り | 1〜2週間程度 | 1〜2週間程度 |
| ハローワークで求職の申し込み | 受給資格決定日 | 受給資格決定日 |
| 待期 | 7日 | 7日 |
| 給付制限 | なし | 1ヶ月 |
| 初回の認定日 | およそ4週間後 | 給付制限明けの認定日 |
| 初回振込の目安 | 離職からおよそ1ヶ月半 | 離職からおよそ2ヶ月半 |
失業の認定は4週間に1回と決められています(雇用保険法15条3項)。
認定を受けた日の分がまとめて振り込まれるため、月ごとではなく4週間ごとのサイクルになります。
受給期間は最長4年まで延ばせる
受給期間の1年には、延長の制度があります。
妊娠・出産・育児・病気やけがなどで、引き続き30日以上職業に就けない場合です(雇用保険法20条1項)。
その日数を1年に加算でき、加算後の期間が4年を超えるときは4年が上限になります。
| 延長できる理由 | 延ばせる期間 |
|---|---|
| 妊娠・出産・育児 | 職業に就けない日数を加算(合計で最長4年) |
| 病気・けが | |
| 親族の介護 | |
| そのほか厚生労働省令で定める理由 |
この制度の要点は、先に申し出が必要なことです。
条文にも「公共職業安定所長にその旨を申し出た場合には」と書かれています。
あとから「あのとき働けなかった」と説明しても、さかのぼって認められるとは限りません。
出産で仕事を離れる人は、育児休業給付とは別の制度である点にも注意してください。
育児休業給付は在職中に受けるもので、失業保険は退職後に受けるものです。
金額の計算は育児休業給付金の計算で確認できます。
定年退職の場合は別枠で最長2年
定年で退職して、しばらく休んでから求職活動をしたい場合も申し出ができます。
この場合は最長で2年(1年+1年)です。
4年まで延ばせる病気・育児等の延長とは別の制度なので、混同しないよう注意してください。
就職すると打ち切り。ただし残日数が多いほど一時金が増える
所定給付日数が残っていても、再就職すればそこで支給は終わります。
ただし残った日数は捨てられるわけではなく、再就職手当という一時金に変わります。
| 再就職した時点の残日数 | もらえる率 |
|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上 | 残日数 × 基本手当日額 × 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上3分の2未満 | 残日数 × 基本手当日額 × 60% |
| 3分の1未満 | 対象外 |
日数の観点で見ると、この制度には段差があります。
3分の2を切った瞬間に70%が60%へ下がります。
所定給付日数270日の人なら、残180日で就職すれば70%、残179日なら60%です。
基本手当日額8,000円で計算すると、1日ちがうだけで約14万円の差になります。
とはいえ、就職を1日早めるか遅らせるかで働き方を決めるのは本末転倒です。
そこまで大きな段差があると知ったうえで、入社日の相談ができる場合の材料として使うのが現実的です。
金額の早見表は失業保険の計算ページに掲載しています。
日数が終わっても支給が続く場合(職業訓練)
所定給付日数を使い切っても支給が続く制度があります。
訓練延長給付です(雇用保険法24条)。
ハローワークの指示で公共職業訓練を受けている間は、訓練が終わるまで基本手当が支給されます。
受給期間そのものも、訓練が終わる日まで延びます(同条3項)。
つまり「1年の期限」も、この場合は例外的に後ろにずれます。
職業訓練には、次の3つが同時につきます。
- 訓練が終わるまで基本手当が延長される
- 自己都合の給付制限がなくなる(33条1項ただし書き)
- 受講手当・通所手当が加算される
日数が90日しかない自己都合の人にとっては、実質的に受給期間を延ばせる数少ない手段になります。
加入年数の数え方——通算できる場合とリセットされる場合
日数を決める「加入年数(算定基礎期間)」は、いまの会社の分だけではありません。
前の会社の期間も条件を満たせば通算できます。
| 状況 | 通算できるか |
|---|---|
| 前職を辞めてから1年以内に再就職した | できる |
| 前職を辞めてから1年を超えて空いた | できない |
| 過去に失業保険を受け取ったことがある | 受け取った離職日より前の期間はできない |
| 育児休業給付を受け取った | その休業期間は除いて計算する |
いちばん影響が大きいのは過去に失業保険を受け取っているケースです。
一度受給すると、そこまでの加入期間はリセットされます。
「通算20年だと思っていたら、10年前に受給していて実際は8年だった」ということが起こります。
この場合、自己都合なら150日ではなく90日です。
自分の加入期間は、離職票の被保険者期間や、ハローワークの窓口で確認できます。
日数を左右する数字なので、思い込みで計算しないほうが確実です。
会社都合と認められるのはどんな場合か
日数を最も大きく変えるのが会社都合かどうかの判定です。
「自分から辞表を出したから自己都合」と思い込んでいる人は多いのですが、辞表を出していても会社都合と判定される場合があります。
判定は退職の形式ではなく、辞めざるを得なかった事情があるかどうかで行われます。
特定受給資格者(会社都合)にあたる主な理由
雇用保険法23条2項では、倒産と解雇の2つを挙げたうえで、細かい類型を厚生労働省令に委ねています。
実務で扱われている主な類型は次のとおりです。
| 分類 | 主な例 |
|---|---|
| 倒産・事業の縮小 | 破産・再生手続の開始、事業所の廃止、大量離職の届出があった |
| 解雇 | 自分の重大な責任によるものを除く解雇、退職勧奨に応じた場合 |
| 労働条件の相違 | 採用時に示された賃金・労働時間などが実際と著しく違った |
| 賃金の未払い・大幅な低下 | 賃金の一定割合以上が支払期日までに支払われなかった、賃金が大きく下がった |
| 長時間の時間外労働 | 離職前に一定水準を超える時間外労働が続いた |
| ハラスメント | 上司・同僚からの著しい言動により就業環境が害された |
| 配置転換 | 職種転換などで、生活に必要な配慮がされないまま通勤が困難になった |
太字にした4つは、本人が申し出なければ会社都合として扱われにくい類型です。
会社が作る離職票には、会社にとって都合のよい理由が書かれることがあります。
ハラスメントや長時間労働で辞めた人が、離職票に「一身上の都合」と書かれたまま手続きしてしまうケースは珍しくありません。
判定が変わると何が変わるか
会社都合と認められた場合の変化は、日数だけではありません。
| 項目 | 自己都合 | 会社都合 |
|---|---|---|
| 所定給付日数(45歳・加入20年) | 150日 | 330日 |
| 給付制限 | 原則1ヶ月 | なし |
| 受給資格に必要な加入期間 | 離職前2年間に12ヶ月 | 離職前1年間に6ヶ月 |
| 受給期間(330日の場合) | — | 1年+30日 |
| 国民健康保険料 | 通常どおり | 前年の給与所得を100分の30とみなす |
加入期間の要件が12ヶ月から6ヶ月に下がる点は重要です。
入社1年未満で辞めた人は、自己都合だと受給資格そのものがないのに、会社都合なら受け取れることがあります。
「1年働いていないからもらえない」と最初からあきらめるのは早計です。
納得できないときの進め方
離職票には、離職理由について本人が異議を記入する欄があります。
会社の記載に同意できない場合は、そこに記入したうえでハローワークに事情を説明します。
説明の裏づけになる資料を持っていくと話が早く進みます。
- 退職を促されたことがわかるメール・面談の記録
- タイムカード・勤怠記録など、実際の労働時間がわかるもの
- 求人票や労働条件通知書など、採用時の条件がわかるもの
- 給与明細(賃金の未払い・低下がわかるもの)
最終的な判定はハローワークが行います。
会社の記載がそのまま確定するわけではないため、実態と違うと感じたら手続きの場で伝えることが出発点になります。
65歳以上で辞めた場合は日数の考え方が変わる
ここまでの日数の表は、65歳未満で離職した人のものです。
65歳以上で離職した場合は基本手当ではなく、高年齢求職者給付金という別の給付になります。
| 65歳未満(基本手当) | 65歳以上(高年齢求職者給付金) | |
|---|---|---|
| もらえる日数 | 90日〜360日 | 30日分または50日分 |
| 受け取り方 | 4週間ごとに分割 | 一時金でまとめて |
| 受け取れる期限 | 原則1年 | 離職の翌日から1年 |
日数は加入年数で決まり、1年以上なら50日分、1年未満なら30日分です。
年齢や加入年数が長くてもこれ以上は増えません。
そのかわり、受け取っても年金は止まりません。
65歳未満の基本手当は老齢厚生年金と併給できないため、この点は大きな違いです。
詳しくは65歳以上の失業保険(高年齢求職者給付金)で解説しています。
退職理由の判定は離職票で決まる
ここまで見てきたとおり、日数を最も大きく変えるのは退職理由です。
その判定は、会社が作る離職票の離職区分をもとにハローワークが行います。
45歳・加入20年の人なら、自己都合150日と会社都合330日で180日の差です。
基本手当日額8,000円なら144万円の差になります。
さらに受給期間や給付制限の有無まで変わるため、影響は金額だけにとどまりません。
会社の記載に納得できない場合は、ハローワークに異議を申し立てられます。
手続きの際に、実際の退職の経緯がわかる資料(退職勧奨のメール、労働条件が実態と異なることがわかるものがわかるもの、残業時間の記録など)を持参して相談します。
判定はハローワークが行うため、会社の記載がそのまま確定するわけではありません。
なお、退職理由は失業保険以外にも影響します。
会社都合(特定受給資格者)や特定理由離職者は、国民健康保険料の算定で前年の給与所得を100分の30とみなす軽減を受けられます。
手当の日数だけでなく、退職後の固定費にも効いてきます。
受給中に病気やけがで働けなくなったら
失業保険は「働ける状態にあること」が前提の給付です。
そのため受給中に病気やけがで働けなくなると、その日は失業と認定されません。
ただし日数が消えるわけではなく、状況に応じて3つの扱いに分かれます。
| 働けない期間 | 扱い |
|---|---|
| 14日以内 | 証明書を出せば失業の認定を受けられる |
| 15日以上30日未満 | 雇用保険の傷病手当を基本手当に代えて受け取れる |
| 30日以上 | 傷病手当を受けるか、受給期間の延長を申し出るかを選ぶ |
雇用保険の傷病手当は、金額が基本手当日額と同じで、支給された日数は所定給付日数から差し引かれます。
つまり総額は変わりません。
一方、受給期間の延長を選べば日数は減らず、あとから受け取れます。
長引きそうなら延長のほうが有利になる場面が多くなります。
名前がよく似ていますが、雇用保険の「傷病手当」と、健康保険の「傷病手当金」は別のものです。
健康保険の傷病手当金は在職中に病気で休んだときに受け取るもので、金額は標準報酬日額のおよそ3分の2、最長1年6ヶ月です。
退職後に受け取っている場合、失業保険とは同時に受け取れません。
金額の計算は傷病手当金の計算で確認できます。
日数がさらに延びる場合(個別延長給付など)
所定給付日数は、特別な事情があるときに上乗せされることがあります。
訓練延長給付のほかに、次のような制度が法律に定められています。
| 制度 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 個別延長給付 | 災害で離職した人や、就職が特に困難と認められる人の日数を延長する | 24条の2 |
| 広域延長給付 | 特定の地域で失業者が著しく多いときに、その地域の受給者の日数を延長する | 25条 |
| 全国延長給付 | 全国的に失業の状況が悪化したときに延長する | 27条 |
これらは本人が申請して選べるものではなく、要件に当てはまる場合にハローワークが判断するものです。
とくに広域延長給付と全国延長給付は、経済情勢の悪化や大規模災害といった局面で発動する仕組みです。
平常時に一般の受給者が対象になることはほとんどありません。
現実的に日数を延ばせる可能性があるのは、職業訓練による訓練延長給付です。
自己都合の90日で足りないと感じている人は、まず訓練の受講を検討する順番になります。
よくある質問
失業保険は最長で何日もらえますか?
最長は360日です。
就職が困難な人で、45歳以上65歳未満、加入1年以上の場合にあたります。
一般の人の最長は、会社都合で45歳以上60歳未満・加入20年以上の330日です。
自己都合だと何日もらえますか?
加入年数だけで決まります。
10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。
年齢は関係ありません。
1年たったら残った日数はどうなりますか?
受け取れなくなります。
受給期間を過ぎた日については支給されないと定められているためです(雇用保険法20条)。
翌年に繰り越すことはできません。
失業保険をもらったら、加入年数はリセットされますか?
リセットされます。
次に離職したときの日数は、受給した離職日より後の加入期間だけで計算されます。
2025年4月から何が変わりましたか?
自己都合退職の給付制限が、原則2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。
あわせて、教育訓練を受けた場合に給付制限が適用されない仕組みが設けられています。
所定給付日数そのものは変わっていません。
受給期間の延長は、いつまでに申し出ればよいですか?
働けない状態が30日を過ぎた時点から申し出ができます。
先に申し出ることが条件になっているため、あとから振り返って申請するのは避けたほうが確実です。
期限や必要書類は管轄のハローワークで確認してください。
給付日数が残っていてもアルバイトはできますか?
できます。
ただし働いた日は手当が減額または不支給になり、稼いでも合計が増えない金額帯が生じます。
詳しくは失業保険とバイトの計算で解説しています。
入社して1年たっていませんが、もらえますか?
自己都合の場合は、離職前2年間に被保険者期間が12ヶ月必要なので原則もらえません。
ただし会社都合や雇止めの場合は離職前1年間に6ヶ月でよいため、受け取れることがあります。
退職理由の判定次第で結論が変わります。
65歳を過ぎて辞めた場合の日数は?
基本手当ではなく高年齢求職者給付金になり、30日分または50日分の一時金です。
加入1年以上なら50日分です。
会社都合なのに離職票が自己都合になっていました。
離職票の異議欄に記入したうえで、ハローワークに事情を説明してください。
判定を行うのは会社ではなくハローワークです。
実際の労働時間や退職の経緯がわかる資料があると話が進みやすくなります。
まとめ
失業保険の「期間」を確認する手順は2つです。
- もらえる日数を確認する——退職理由・年齢・加入年数の3つで、90日から360日まで変わります
- 期限から逆算する——受給期間(原則1年)から待期7日・給付制限・所定給付日数を引くと、満額もらうための申請期限が出ます
注意が必要なのは、所定給付日数が300日以上の人です。
受給期間の延長がある330日・360日と、延長のない300日は、いずれも離職から約2ヶ月で申請期限を迎えます。
手厚い人ほど急ぐ必要がある、という関係になっています。
1日あたりの金額は失業保険の計算シミュレーターで計算できます。
日数と日額がそろえば、受け取れる総額がわかります。
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確認日:2026年8月11日
申請期限の試算は、受給期間から待期7日・給付制限・所定給付日数を差し引いた当サイト独自の計算です。
認定日の設定や個別の事情によって前後する場合があります。
実際の手続き・日数の確定は、管轄のハローワークにご確認ください。
本ページは情報提供を目的としたもので、個別の給付の可否を保証するものではありません。