年末調整の還付金はいつ振り込まれる?——12月の給与と一緒が最多
年末調整の還付金は、12月の最後の給与支給日に、給与に上乗せする形で戻ってくるのが最も一般的です。
11月ごろに提出した控除の申告書をもとに会社が1年分の所得税を計算し直し、毎月の給与から天引き(源泉徴収)していた概算の税額との差額を、12月の給与で精算します。
ただし、すべての会社が12月とは限りません。
給与の締め日や事務処理の都合で、翌年1月の給与で精算する会社も少なくありません。
12月に振り込まれなくても、まずは慌てずに1月の給与明細まで確認してください。
受け取り方は「給与に上乗せ」がほとんど
受け取り方は会社によって、①給与に上乗せして振込(最多)、②現金での手渡し(まれ)、③給与とは別に振込、のいずれかです。
金額は給与明細の「年末調整」「年調過不足」「年調還付」などの欄に記載されます。
振り込まれたかどうかわからない場合は、明細のこの欄を見るのが確実です。
年末調整の還付金はいくら戻る?——計算の仕組みは「概算と確定の差額」
還付金の正体は、毎月の給与から概算で多めに天引きされていた所得税と、年末に確定した1年分の所得税との差額です。
毎月の天引き額は「その月の給与と扶養の人数」だけで機械的に決まっており、生命保険料控除やiDeCoの掛金などは反映されていません。
そのため年末に控除をまとめて適用すると、たいていの人は「払いすぎ」になっており、その分が戻ってきます。
計算の流れは次の5ステップです。
- ①年収を集計:1〜12月の給与・賞与の合計(額面)
- ②給与所得控除を差し引く:年収に応じた「サラリーマンの経費」にあたる控除
- ③所得控除を差し引く:基礎控除・社会保険料控除・生命保険料控除・配偶者控除・扶養控除など
- ④残った課税所得に税率をかける:5%〜45%の累進税率+復興特別所得税2.1%
- ⑤源泉徴収された合計と比べる:天引きの方が多ければ差額が還付、少なければ追加徴収
たとえば年収400万円・独身・社会保険料60万円の人なら、2026年のルールでは本来の年税額は約5.7万円です。
毎月8,000円ずつ天引きされていた場合、年間の源泉徴収額は9.6万円なので、差額の約3.9万円が還付金の目安になります。
自分の数字で知りたい場合は、上のシミュレーターに入力してみてください。
【2026年】今年は還付金が大きくなりやすい——基礎控除引き上げの一括精算
2026年(令和8年分)は、いわゆる「178万円の壁」対応の税制改正が年末調整にまとめて反映される特別な年です。
令和8年度税制改正で、基礎控除と給与所得控除が次のように引き上げられました。
| 項目 | 2026年(令和8年分) |
|---|---|
| 基礎控除(合計所得489万円以下=年収の目安666万円以下) | 104万円(本則62万円+上乗せ42万円) |
| 基礎控除(合計所得489万円超655万円以下) | 67万円(本則62万円+上乗せ5万円) |
| 基礎控除(合計所得655万円超2,350万円以下) | 62万円(本則のみ) |
| 給与所得控除の最低保障額 | 74万円(69万円+特例5万円) |
| 扶養親族等の所得要件 | 合計所得62万円以下(給与収入136万円以下)に拡大 |
ポイントは施行日です。
この改正は令和8年12月1日に施行されるため、2026年1〜11月の毎月の源泉徴収には反映されていません。
つまり1〜11月は「改正前の高い税額」のまま天引きが続き、12月の年末調整で改正後のルールにより1年分をまとめて再計算します。
国税庁も「令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じない(12月の年末調整から対応)」としています。
その結果、多くの給与所得者で例年より大きな還付が発生しやすくなります。
なお、基礎控除の上乗せ(104万円・67万円)と給与所得控除の特例5万円は2026年・2027年の2年間の特例で、2028年以降の金額は今後の税制改正で見直される予定です。
また2024年にあった定額減税は終了しているため、今年の還付額と比べる際は注意してください。
年収別・本来納める所得税の早見表【2026年】——天引き合計と比べれば還付がわかる
「自分の場合いくら戻るか」を最短で見積もる方法は、①下の表で自分の年収の「本来の年税額」を見る → ②給与明細の「所得税」欄の1年分合計と比べる、の2ステップです。
天引き合計の方が多ければ、その差額が還付金の目安になります。
次の表は、2026年(令和8年分)のルール(基礎控除最大104万円・給与所得控除最低74万円)で当サイトのシミュレーターと同じ計算式により算出した年税額です。
社会保険料は年収の14.5%、記載の控除以外はない前提の概算です。
| 年収(額面) | 独身・扶養なし | 配偶者控除あり |
|---|---|---|
| 300万円 | 約27,800円 | 約8,400円 |
| 400万円 | 約58,100円 | 約38,700円 |
| 500万円 | 約91,600円 | 約72,200円 |
| 600万円 | 約150,500円 | 約111,700円 |
| 700万円 | 約281,200円 | 約220,500円 |
| 800万円 | 約435,400円 | 約357,800円 |
たとえば年収400万円・独身の人で、毎月8,000円+賞与から16,000円(年間合計11.2万円)天引きされていれば、本来の年税額約5.8万円との差=約5.4万円が戻ってくる計算です。
生命保険料控除やiDeCoがあれば本来の年税額はさらに下がるため、還付は増えます。
正確な金額は上のシミュレーターで、自分の控除を入れて計算してください。
年末調整で使える控除の一覧——出し忘れが還付金を減らす
年末調整で申告できる控除は次のとおりです。
書類を出し忘れた控除は毎月の天引きにも年末調整にも反映されないため、そのまま「払いすぎ」が確定してしまいます。
| 控除 | 概要(2026年・令和8年分) |
|---|---|
| 基礎控除 | 最大104万円(所得489万円以下)。申告書の提出のみで適用 |
| 配偶者控除・配偶者特別控除 | 最大38万円。配偶者の所得要件は改正で拡大(給与収入の目安136万円以下で満額) |
| 扶養控除 | 16歳以上の扶養親族1人につき38万円(19〜22歳の特定扶養は63万円) |
| 特定親族特別控除 | 19〜22歳でアルバイト収入が多めの子も段階的に最大63万円(2025年新設) |
| 社会保険料控除 | 給与天引き分は自動反映。家族の国民年金を払った分は申告で追加できる |
| 生命保険料控除 | 一般・介護医療・個人年金の3枠で最大12万円。10月ごろ届く控除証明書が必要 |
| 地震保険料控除 | 最大5万円 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | iDeCo・企業型DCのマッチング拠出などの掛金全額 |
| 障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除 | 該当欄への記入のみで適用(27万円〜) |
| 住宅ローン控除(2年目以降) | 税額から直接差し引く控除のため還付が大きくなりやすい。初年度は確定申告 |
逆に、医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税でワンストップ特例を使わない場合)・雑損控除・住宅ローン控除の初年度は年末調整では扱えず、確定申告が必要です。
還付金が多くなる人・ならない人——控除のチェックリスト
還付金が大きくなりやすいのは、毎月の天引きに反映されていない控除を持っている人です。
年末調整の書類を出す前に、次の控除の漏れがないか確認しましょう。
- 生命保険料・地震保険料を払っている:生命保険料控除(上限12万円)・地震保険料控除(上限5万円)
- iDeCoや企業型DCの掛金を自分で出している:小規模企業共済等掛金控除(全額)
- 年の途中で扶養家族が増えた・結婚した:扶養控除・配偶者控除(38万円〜)
- 大学生年代(19〜22歳)の子を扶養している:特定扶養親族は1人63万円。
2025年からはアルバイト収入が多めでも段階的に控除できる「特定親族特別控除」(最大63万円)があります - 住宅ローン控除の2年目以降:税額から直接引かれるため還付額が大きくなりやすい(初年度は確定申告が必要)
- ひとり親・寡婦・障害者控除に該当する:該当欄への記入だけで適用されます
逆に、独身で控除が基礎控除と社会保険料控除だけの人は、還付金が少ないかゼロでも異常ではありません。
毎月の天引きがもともと正確に近いためです(それでも2026年は上記の一括精算があるため、還付が出やすくなっています)。
年末調整で還付金がもらえないケースと対処法
「還付金が振り込まれない」場合、次のどれかに当てはまっていないか確認してください。
- 追加徴収になった:年の途中で扶養家族が減った、賞与の比率が大きかったなどの場合、逆に足りない分が徴収されることがあります。
給与明細の年調欄がマイナスならこのケースです。 - 会社の精算が1月:前述のとおり、1月の給与明細まで待って確認を。
- 「扶養控除等申告書」を出していない:未提出だと税額の高い「乙欄」で源泉徴収され、年末調整の対象にもなりません。
この場合は自分で確定申告すれば取り戻せます。 - 年の途中で退職して12月31日時点で在籍していない:年末調整は受けられないため、翌年に確定申告(還付申告)をします。
- 年収2,000万円超など、確定申告が必要な人:年末調整の対象外です。
また、医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)・住宅ローン控除の初年度は、年末調整では手続きできません。
これらは翌年の確定申告で還付を受けます。
還付申告は対象の年の翌年1月1日から5年間さかのぼって提出できるので、過去の控除の出し忘れに気づいた場合もあきらめる必要はありません。
状況別・年末調整と還付金の扱い——転職・退職・産休育休・副業
年の途中で働き方が変わった人は、還付金の受け取り方も変わります。
自分のケースを確認してください。
- 年の途中で転職した:前職の源泉徴収票を今の会社に提出すれば、前職分も合算して年末調整されます。
前職では毎月の天引きだけで控除の精算がされていないため、転職した年は還付金が大きくなりやすいのが一般的です。
源泉徴収票の提出が12月の計算に間に合わない場合は、自分で確定申告すれば同じように取り戻せます。 - 年の途中で退職して年末まで再就職していない:年末調整を受けられないため、毎月多めに天引きされていた所得税が払いすぎのまま残ります。
翌年に還付申告(確定申告)をすればほぼ確実に戻ってくる典型パターンです。
退職時に受け取った源泉徴収票を使います。 - 産休・育休中:育児休業給付金や出産手当金は非課税なので、給付金には所得税がかかりません。
一方、休業前の給与からは通常どおり天引きされているため、年の途中から休業に入った年は年収が下がり、還付金が出やすくなります。
年末時点で在籍していれば会社の年末調整で精算されます。
また、収入が下がった年は配偶者側の配偶者控除・配偶者特別控除の対象になれる場合があり、夫婦合計での還付を増やせます。 - 副業がある:年末調整されるのは本業(扶養控除等申告書を出した会社)の給与だけです。
副業の所得が年20万円を超える場合は確定申告が必要で、その際に本業の年末調整の内容も合算して精算されます。
共通するポイントは、「年末調整で拾えなかった払いすぎは、確定申告(還付申告)で取り戻せる」ということです。
還付申告は翌年1月1日から5年間提出できます。
よくある質問
- Q. 還付金の平均はいくらぐらい?
- A. 公的な平均額の統計はなく、控除の内容によって数千円〜数十万円まで差があります。
生命保険料控除だけなら数千円〜1万円台、住宅ローン控除2年目以降なら10万円超も珍しくありません。
2026年は基礎控除引き上げの一括精算が加わるため、全体に例年より大きくなりやすい年です。 - Q. 12月の給与に還付金が入っていませんでした。どうすれば?
- A. まず給与明細の「年調過不足」欄を確認し、記載がなければ1月の給与明細まで待ちます。
それでもなければ、経理・人事の担当部署に「年末調整の精算がいつの給与で行われるか」を確認してください。
追加徴収(マイナス精算)だった可能性もあります。 - Q. 賞与(ボーナス)から引かれた所得税も還付の対象?
- A. 対象です。
年末調整は毎月の給与と賞与の源泉徴収額をすべて合算して精算します。
賞与の源泉徴収は「前月の給与」を基準にした率で計算されるため、賞与額が大きい人や支給月がずれた人は払いすぎになりやすく、その分も12月にまとめて戻ります。 - Q. 還付金はいったん受け取ったら課税されますか?
- A. されません。
還付金はもともと払いすぎていた税金が戻ってきただけなので、所得にはあたりません。
まとめ——まずは自分の還付金の目安を知ることから
ポイントをもう一度整理します。
①還付金は12月の最後の給与日に給与へ上乗せが最多(1月の会社もある)、②金額は「天引きの概算」と「確定した年税額」の差額で、控除が多い人ほど戻る、③2026年は基礎控除最大104万円への引き上げが12月に一括精算されるため、例年より還付が大きくなりやすい——の3点です。
ページ上部の簡易シミュレーターで目安を計算したら、あわせて毎月の手取りは給与手取り計算ツール、働き方まわりのお金は残業代計算ツールや失業保険計算ツール、育休給付金計算ツールもどうぞ。
令和8年度税制改正(基礎控除の引き上げ等)は令和8年12月1日施行のため、12月の年末調整で一括精算されます。
シミュレーターは概算の目安であり、住宅ローン控除・医療費控除・所得金額調整控除などは反映していません。
個別の税額の判断は税務署・税理士など専門家へご相談ください。
出典:国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」/国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」/国税庁 タックスアンサー No.2030 還付申告