特定理由離職者になると失業保険はどう変わる?日数が増える人と増えない人を判定

最終更新:2026年8月13日|執筆:瀬尾 健一

特定理由離職者に認定されると失業保険が有利になる、とよく説明されます。
ただし「給付日数が増えるのは一部の人だけ」で、多くの人は日数が変わりません。
自分がどちらに当たるのか、認定されると何がどう変わるのかを、日数まで計算できるツールを用意しました。

先に結論
※雇止めは「更新を希望したのに合意に至らなかった」場合が対象です。自分から更新を断った場合は当たりません
もらえる日数
あなたの区分
一般の自己都合だった場合の日数
日数の差
給付制限
総額の目安(差額)

特定理由離職者は2種類ある——ここを分けないと話が合わない

特定理由離職者は、ハローワークの案内で2つの範囲に分けて示されています。
この2つは受けられる扱いが違います。同じ「特定理由離職者」でも、日数が増える人と増えない人がいるのはこのためです。

特定理由離職者は雇止めと正当な理由のある自己都合の2種類に分かれ、給付日数が増えるのは雇止めの人だけであることを示した図
同じ「特定理由離職者」でも、日数が増えるのは雇止めの人だけ
範囲の1
(雇止め)
範囲の2
(正当な理由のある自己都合)
どんな人契約期間が満了し、更新を希望したのに更新されなかった病気・介護・出産・転居などで辞めざるを得なかった
所定給付日数🔴 特定受給資格者(会社都合)と同じ一般の自己都合と同じ(90〜150日)
給付制限なしなし
受給資格の要件離職前1年間に6か月以上離職前1年間に6か月以上

つまり「特定理由離職者になれば日数が増える」は、雇止めの人にしか当てはまりません
病気や介護で辞めた人にとってのメリットは、給付制限がないこと加入期間が6か月でも受給できることの2つです。

🔴 雇止めの日数上乗せは2027年3月31日までの暫定措置です
ハローワークの案内には、範囲の1に該当する人の日数が特定受給資格者と同じになるのは「離職の日が2009年3月31日から2027年3月31日までの間にある方に限り」と明記されています。
期限のある取り扱いなので、離職日がこの期間に入るかを必ず確認してください。

雇止めなら日数はどれだけ増えるか【年齢×加入年数の早見表】

雇止めで特定理由離職者と認められた場合、日数は特定受給資格者(会社都合)と同じになります。
一般の自己都合と比べてどれだけ変わるかを、年齢と加入年数の組み合わせで計算しました。

年齢と加入年数の組み合わせごとに、一般の自己都合と雇止めの特定理由離職者で所定給付日数が何日変わるかを示した表
差が最も大きいのは45歳以上60歳未満・加入20年以上で、150日→330日の180日差
年齢加入年数一般の自己都合雇止め
30歳未満10年以上20年未満120日180日+60日
35歳以上45歳未満10年以上20年未満120日240日+120日
35歳以上45歳未満20年以上150日270日+120日
45歳以上60歳未満10年未満(5年以上)90日240日+150日
45歳以上60歳未満20年以上150日330日+180日
60歳以上65歳未満20年以上150日240日+90日

※雇用保険法22条・23条にもとづく所定給付日数。ハローワーク「基本手当の所定給付日数」の表と一致することを確認しています。

いちばん差が大きいのは45歳以上60歳未満で加入20年以上の人で、150日から330日へ180日分増えます
基本手当日額が6,000円なら、それだけで108万円の違いです。
同じ「契約が終わって辞めた」でも、更新を希望した記録が残っているかどうかでここまで変わります

どちらのメリットも大きいのは「給付制限がない」こと

日数が増えない人でも、給付制限がないのは大きな違いです。

区分給付制限実際に振り込まれ始める時期
一般の自己都合原則1ヶ月(2025年4月から)待期7日+1ヶ月のあと
特定理由離職者なし待期7日のあとすぐ
特定受給資格者(会社都合)なし待期7日のあとすぐ

認定されるかどうかで、最初の振り込みが1ヶ月前後ずれます
離職直後に収入が途切れる時期なので、この1ヶ月の差は日数以上に効きます。
時期の計算は失業保険の期間は何日?満額もらえる申請期限で確認できます。

もうひとつが受給資格の要件です。
一般の離職者は離職前2年間に12か月以上の被保険者期間が必要ですが、特定理由離職者は離職前1年間に6か月以上で受給資格を得られます。
入社して1年経たずに辞めることになった人にとっては、受け取れるかどうかが変わる条件です。

「正当な理由のある自己都合」に当たるもの

ハローワークが示している範囲の2は、次のとおりです。

区分内容
体調体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力・聴力・触覚の減退など
妊娠・出産・育児妊娠・出産・育児等により離職し、受給期間の延長措置を受けた場合
家族の事情父母の死亡・疾病・負傷などで扶養が必要になった、常時看護が必要な親族の疾病・負傷
別居の解消配偶者や扶養すべき親族との別居生活を続けることが困難になった
通勤が困難結婚に伴う転居/保育所の利用や親族への保育の依頼/事業所の移転/意思に反する転居/交通機関の廃止・運行時間の変更/転勤・出向に伴う別居の回避/配偶者の転勤・再就職に伴う別居の回避
人員整理企業整備による人員整理等で希望退職の募集に応じた場合(退職勧奨に当たらないもの)

※妊娠・出産・育児の場合は受給期間の延長措置を受けていることが条件です。延長の手続きをしていないと、この区分に当たりません。

注意したいのは、これらは「自分がそう思えば当たる」ものではないということです。
判断するのはハローワークで、離職票に書かれた理由と、提出した資料をもとに決まります。
体調が理由なら医師の診断書、家族の看護なら 家族の状況がわかる資料など、裏づけを求められるのが通常です。

会社都合(特定受給資格者)とは別物です

混同されやすいのが特定受給資格者との違いです。
こちらは会社側に原因がある離職で、倒産・解雇・賃金未払い・過重な残業などが該当します。

特定受給資格者特定理由離職者
原因会社(倒産・解雇・賃金未払い・長時間労働・ハラスメントなど)本人の事情(病気・介護・転居)または雇止め
給付日数最大330日雇止めは同じ/それ以外は一般と同じ
給付制限なしなし

特定受給資格者に当たる例としてハローワークが挙げているものには、次のような具体的な基準があります。

とくに残業時間の基準は数字で決まっています
自己都合で辞めたつもりでも、この水準の残業が記録に残っていれば、区分が変わる可能性があります。
退職理由の違いで総額がどれだけ動くかは失業保険(基本手当)計算シミュレーターで試算できます。

認定してもらうために必要なこと

特定理由離職者かどうかを決めるのはハローワークです。
会社が離職票に書いた理由がそのまま通るわけではなく、本人が異議を申し立てることもできます

離職票の「離職理由」欄を確認する

離職票には会社が記入した離職理由と、それに対する本人の記入欄があります。
会社の記載に納得できない場合は、「異議あり」に印を付けて、自分の認識を書けます
ここを空欄のまま提出すると、会社の記載どおりに処理されます。

裏づけになる資料をそろえる

理由用意するもの(例)
体調・病気医師の診断書、通院の記録
家族の介護・看護家族の診断書、要介護認定の通知
転居で通勤困難住民票、通勤経路と所要時間がわかるもの
雇止め雇用契約書、更新を希望した記録(メールなど)

とくに雇止めは「更新を希望したのに合意に至らなかった」ことが条件です。
自分から更新しないと申し出た場合は当たりません。更新を希望した記録が残っているかが分かれ目になります。

認定されると税や保険料も変わることがある

特定理由離職者の影響は失業保険だけにとどまりません。
国民健康保険料が軽くなる制度があります。

国民健康保険の軽減(雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者が対象)
前年の給与所得を100分の30とみなして保険料が計算されます。
対象になるのは離職日の翌日から翌年度末までです。

保険料は前年の所得で決まるため、離職直後は収入がないのに高い保険料を請求されがちです。
この軽減が使えると負担が大きく変わるので、市区町村の窓口で必ず申し出てください(自動では適用されません)。

※軽減の対象は雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者で、離職時に65歳未満の方などの条件があります。詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

よくある質問

Q. 自己都合で辞めましたが、あとから特定理由離職者になれますか?

可能性はあります。区分を決めるのはハローワークで、離職票に「異議あり」と書いて資料を出せば、判断してもらえます
すでに受給が始まっている場合でも、事情を説明して相談してください。

Q. 診断書は必ず必要ですか?

理由によります。体調を理由にする場合は求められるのが通常です。
一方、転居で通勤が困難になった場合は住民票や通勤経路の資料で足りることがあります。
必要書類は管轄のハローワークによって運用が異なるので、事前に確認してください。

Q. 特定理由離職者だと日数はどれくらい増えますか?

雇止めの人は会社都合と同じ日数になります。たとえば45歳以上60歳未満で加入20年以上なら、一般の自己都合150日に対して330日です。
一方、病気や介護などの正当な理由のある自己都合の人は増えません(90〜150日のまま)。
ご自身の日数はページ上部のツールで確認できます。

Q. 会社に「自己都合にしてほしい」と言われました

離職理由は事実にもとづいて判断されるもので、会社と本人の合意で決めるものではありません。
実態と違う記載に納得できない場合は、離職票の本人記入欄に異議を書いてください。

Q. 妊娠・出産で辞めました。特定理由離職者になりますか?

受給期間の延長措置を受けていることが条件です。
妊娠・出産・育児ですぐに働けない場合、受給期間(原則1年)を最大4年まで延ばせる手続きがあります。
この延長をしていないと、この区分には当たりません。延長の考え方は失業保険の期間は何日?で説明しています。

まとめ

いくらもらえるかは失業保険(基本手当)計算シミュレーター、いつまでに申請すれば満額かは失業保険の期間は何日?、受給中に必要な求職活動は求職活動実績は何回必要?で確認できます。

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区分が決まったら、次は求職活動です

特定理由離職者は給付制限がないため、待期7日のあとすぐ支給の対象になります。
ただし認定日ごとに求職活動の実績が必要で、足りないとその期間は支給されません。
民間の職業紹介事業者との職業相談は、そのまま実績として認められます。
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本ページの「特定理由離職者の2区分と、給付日数が増えるのは雇止めのみという整理」は、ハローワークインターネットサービスの公表内容をもとに当サイトがまとめたものです。
出典として「マネー計算ラボ」とこのページのURLを明記していただければ、記事・資料・SNSでご自由にお使いいただけます。

出典(一次情報)

確認日:2026年8月13日/所定給付日数・給付制限・受給資格の要件は上記の公表内容にもとづいています。区分の判断はハローワークが個別に行うため、最終的な取り扱いは管轄の窓口にご確認ください。

最終更新:2026年8月11日