育児休業給付金はいくらもらえる?計算のしくみ
育児休業給付金は、雇用保険から支給される給付で、次の式で計算されます。
- 休業開始から180日まで:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
- 181日目以降:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%
「休業開始時賃金日額」は、育休前6ヶ月の給与(賞与を除く額面)÷180で計算します。
つまり月給の約67%(→50%)が月ごとに支給されるイメージです。
重要なのは、給付金は非課税で、育休中は社会保険料(健康保険・厚生年金)も本人・会社とも免除されることです。
このため「額面の67%」でも、手取りベースでは休業前の約8割になります。
上限額に注意(2026年8月1日改定の最新額)
| 項目 | 2026年8月1日〜 | 前年(2025年8月〜) |
|---|---|---|
| 休業開始時賃金月額の上限 | 496,200円(日額16,540円) | 483,300円(日額16,110円) |
| 支給上限額(67%期間・30日あたり) | 332,454円 | 323,811円 |
| 支給上限額(50%期間・30日あたり) | 248,100円 | 241,650円 |
| 出生後休業支援給付金の上限(13%・28日分) | 60,205円 | 58,640円 |
| 出生時育児休業給付金の支給上限額(67%) | 310,290円 | 302,223円 |
| 休業開始時賃金月額の下限 | 96,090円 | 90,420円 |
月給が約49.6万円を超えている場合は、それ以上月給が高くても給付額は上限で頭打ちになります。
上限額は毎年8月1日に改定され、2026年8月1日から上記の新しい額に切り替わりました。
67%期間の上限は前年から8,643円の引き上げです。
すでに育休に入っている方も、8月1日以降の支給対象期間から新しい上限額が適用されます。
ただし上限に届いていない方(月給が約49.6万円未満の方)の支給額は、休業開始時の賃金で決まるため変わりません。
月給別の早見表——毎月いくら振り込まれる?
上のシミュレーターと同じ計算式で、代表的な月給を先に計算しました。
金額は30日あたりで、賞与は含みません。
| 育休前の月給 | 賃金日額 | 67%期間(〜180日) | 50%期間(181日〜) | 出生後休業支援(28日分) |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 6,667円 | 134,000円 | 100,000円 | 24,267円 |
| 25万円 | 8,333円 | 167,500円 | 125,000円 | 30,333円 |
| 30万円 | 10,000円 | 201,000円 | 150,000円 | 36,400円 |
| 35万円 | 11,667円 | 234,500円 | 175,000円 | 42,467円 |
| 40万円 | 13,333円 | 268,000円 | 200,000円 | 48,533円 |
| 45万円 | 15,000円 | 301,500円 | 225,000円 | 54,600円 |
| 50万円以上 | 16,540円 (上限) | 332,454円 (上限) | 248,100円 (上限) | 60,205円 (上限) |
月給が約49.6万円を超えると、そこから先はいくら稼いでいても同額です。
賃金月額に496,200円という上限が設けられているためです。
どの給与が基準になる?——産休を取ったなら「産休開始前」の6ヶ月
計算の出発点になる「休業開始時賃金日額」は、直近6ヶ月に支払われた賃金の総額を180で割った額です。
ここで多くの解説が「育休開始前6ヶ月」と書いていますが、産休を取った人の基準は違います。
厚生労働省のパンフレットには、育児休業を取得した場合は「原則として産前産後休業開始前」の直近6ヶ月と明記されています。
産休中は給与が出ない(または大きく減る)ため、「育休開始前6ヶ月」で計算すると金額が実際よりずっと低く出ます。
正しくは産休に入る前の6ヶ月、つまり通常どおり働いていた期間の給与が基準です。
当ページのシミュレーターも、この「休業前の通常の月給」を入力する前提で計算しています。
計算に含まれる賃金・含まれない賃金
対象になるのは賃金支払基礎日数が11日以上ある月の賃金です(11日未満の月は除いてさかのぼります)。
含まれるかどうかの線引きは失業保険と同じで、臨時に支払われる賃金と3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は除かれます。
| 計算に含まれるもの | 計算に含まれないもの |
|---|---|
| 基本給 | 賞与・ボーナス(3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金) |
| 残業手当・深夜手当 | 結婚祝金・見舞金など臨時に支払われる賃金 |
| 通勤手当・住宅手当・家族手当・役職手当 | 退職金 |
※賃金支払基礎日数が11日以上の月が6ヶ月に満たない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上である月を使います。
出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版・PDF)(確認日2026年8月11日)
残業代が含まれる点は金額に効きます。
基本給28万円の人が産休前6ヶ月に毎月2万円の残業をしていれば、基準は月給30万円になります。
上のシミュレーターに入力するのは、この残業代・手当を含んだ額面です。
育児休業給付金の受給条件——2年間に「11日以上の月」が12ヶ月
受け取るには、次の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険の被保険者であること——1歳未満の子を養育するために育児休業を取得していること。
- 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上あること(11日以上の月がない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の完全月)。
- 休業期間中の就業日数が、1ヶ月あたり最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること。
有期雇用の場合は、これに加えて子が1歳6ヶ月に達する日までの間に労働契約の期間が満了することが明らかでないことが要件になります。
1歳6ヶ月以降も育休を取る場合は、2歳に達する日までで判断されます。
※出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版・PDF)(確認日2026年8月11日)
1年間の育休でいくらもらえるか
「毎月いくら」ではなく「合計いくら」で見ると、生活設計が立てやすくなります。
1年間(12ヶ月)育休を取った場合、最初の6ヶ月が67%、残りの6ヶ月が50%で計算されます。
| 育休前の月給 | 67%期間(6ヶ月) | 50%期間(6ヶ月) | 1年間の合計 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 804,000円 | 600,000円 | 1,404,000円 |
| 30万円 | 1,206,000円 | 900,000円 | 2,106,000円 |
| 40万円 | 1,608,000円 | 1,200,000円 | 2,808,000円 |
| 50万円以上 | 1,994,724円 | 1,488,600円 | 3,483,324円 |
※出生後休業支援給付金は含まない金額です。
要件を満たす場合は、上の早見表の金額がさらに上乗せされます。
月給30万円の人なら、1年間で約210万円です。
給付金は非課税で社会保険料も免除されるため、同じ額の給与を受け取る場合と比べて手取りベースの目減りはさらに小さくなります。
いつ振り込まれる?——初回は2〜3ヶ月後
見落とされがちなのが振込のタイミングです。
育児休業給付金は原則2ヶ月ごとの申請・支給で、育休開始と同時には振り込まれません。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 育休開始 | この時点では振込なし。 会社経由で受給資格の確認と初回申請の手続きに入る |
| 育休開始から約2ヶ月後 | 最初の2ヶ月分をまとめて申請 |
| 約2〜3ヶ月後 | 初回の振込(申請から約1週間〜10日が目安) |
| 以降2ヶ月ごと | 2ヶ月分ずつまとめて振込 |
つまり、育休に入ってから最初の2〜3ヶ月は無収入の期間になります。
その間の生活費は、育休前に用意しておく必要があります。
月給30万円の人なら、初回振込までに40万円前後(2ヶ月分の給付相当)を立て替える形になると考えておくと安全です。
なお、育休中は健康保険・厚生年金の保険料が本人・会社ともに免除されます。
免除された期間も年金の加入期間として扱われ、将来の年金額が減ることはありません。
手続きは会社が行いますが、申請しなければ免除されないため、育休に入る前に会社の担当者へ確認しておいてください。
「実質手取り10割」——出生後休業支援給付金(2025年4月〜)
2025年4月から、両親がともに育休を取るなどの要件を満たすと、最大28日間、通常の67%に13%が上乗せされて80%が支給される「出生後休業支援給付金」が始まりました。
給付が非課税・社会保険料免除であることと合わせると、この期間は手取りベースで休業前とほぼ同水準(実質10割相当)になります。
- 父親:子の出生後8週間以内に14日以上の育休(産後パパ育休含む)を取得
- 母親:産後休業後16週間以内に14日以上の育休を取得
- 原則、配偶者も14日以上の育休取得が必要(配偶者が専業主婦(夫)・自営業・ひとり親などの場合は本人のみでOK)
育休中に会社から給与が出たら?——13%を超えると給付金が減る
育休中でも、会社から一部の賃金が支払われることがあります。
その場合、支払われた額に応じて給付金が減額されます。
基準になるのは「休業開始時賃金日額 × 支給日数」(=休業前の月給に相当する額)で、判定は次の3段階です。
| 会社から支払われた賃金 | 育児休業給付金の額 |
|---|---|
| 基準額の13%以下(181日目以降は30%以下) | 支給日数×67%(181日目以降は50%)=満額 |
| 基準額の13%超〜80%未満 | 支給日数×80% − 支払われた賃金額 |
| 基準額の80%以上 | 支給されません |
※出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続」(令和8年8月1日改訂版・PDF)(確認日2026年8月11日)
13%を超えると、そこから80%までは働いても手取りが1円も増えない
この3段階には、見落とされがちな性質があります。
2段目の「80% − 賃金額」は、会社からいくらもらっても合計がちょうど80%になる式です。
つまり賃金が13%を超えた瞬間から80%に届くまでの間は、働いた分だけ給付金が減り、合計は変わりません。
月給30万円(休業開始時賃金日額10,000円・支給日数30日・基準額300,000円)で計算すると、次のようになります。
| 会社から支払われた賃金 | 育児休業給付金 | 合計 | 基準額に対する割合 |
|---|---|---|---|
| 0円 | 201,000円 | 201,000円 | 67.0% |
| 20,000円 | 201,000円 | 221,000円 | 73.7% |
| 39,000円(13%ちょうど) | 201,000円 | 240,000円 | 80.0% |
| 60,000円 | 180,000円 | 240,000円 | 80.0% |
| 150,000円 | 90,000円 | 240,000円 | 80.0% |
| 200,000円 | 40,000円 | 240,000円 | 80.0% |
| 239,000円 | 1,000円 | 240,000円 | 80.0% |
| 240,000円(80%)以上 | 0円 | 240,000円 | 80.0% |
月給30万円の人の場合、会社からの賃金が39,001円から239,999円までのどこであっても、合計は240,000円で変わりません。
この幅は約20万円です。
ゾーンの幅は月給が高いほど広くなります。
| 休業前の月給 | 13%ライン(ここまでは満額) | 80%ライン | 合計が増えない幅 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 26,000円 | 160,000円 | 134,000円 |
| 25万円 | 32,500円 | 200,000円 | 167,500円 |
| 30万円 | 39,000円 | 240,000円 | 201,000円 |
| 35万円 | 45,500円 | 280,000円 | 234,500円 |
| 40万円 | 52,000円 | 320,000円 | 268,000円 |
| 45万円 | 58,500円 | 360,000円 | 301,500円 |
※支給日数30日・181日目までの67%期間で試算。
当サイトが厚生労働省の計算式をそのまま実装し、node.jsで全数値を検算しました。
実務上の意味は「会社から出る賃金は、基準額の13%までに収めるか、80%以上にするかのどちらかが得」ということです。
その中間はいくら働いても合計が増えません。
会社に一部就労を打診されたときは、金額が基準額の13%に収まるかどうかを先に確認してください。
育休中に働ける日数——1ヶ月に10日または80時間まで
育休中でも働くことはできますが、上限があります。
一支給単位期間(1ヶ月)中の就業日数が10日以下、10日を超える場合は就業した時間数が80時間以下であることが要件です。
これを超えると、その月は給付金が支給されません。
出生時育児休業給付金(産後パパ育休)の場合は、28日の休業に対して最大10日(10日を超える場合は80時間)という基準を、実際の休業日数で按分します。
厚生労働省の例では、10日間の休業なら最大4日(4日を超える場合は約28.57時間)まで就業できるとされています。
なお、就業した分の賃金は前の章の減額判定の対象になります。
日数の上限内におさまっていても、金額が基準額の13%を超えれば給付金は減ります。
「日数の条件」と「金額の条件」は別物です。
1歳6ヶ月・2歳まで延長できる場合
育児休業給付金は原則として子が1歳になるまでですが、延長できる場合があります。
- 1歳2ヶ月まで——両親がともに育児休業を取得する場合(パパ・ママ育休プラス)。
- 1歳6ヶ月まで——保育所等における保育の実施が行われないなどの場合。
- 2歳まで——1歳6ヶ月に達した後も保育所等での保育が行われないなどの場合。
延長には、保育所等の利用を希望して申込みをしていることが必要です。
「入所できなかった」という事実だけでなく、申込みをした記録が求められます。
入所保留の通知書などを保管しておいてください。
延長期間中の給付率は50%です(181日目以降の率が続きます)。
上のシミュレーターで「18ヶ月」「24ヶ月」を選ぶと、この50%期間を含めた総額が計算できます。
税金も社会保険料もかからない——だから額面67%でも手取りでは8割強
育児休業給付金は非課税です。
所得税も住民税もかからず、確定申告に含める必要もありません。
加えて、育休中は健康保険料・厚生年金保険料が免除されます(申出が必要です)。
免除された期間も、将来の年金額の計算では保険料を納めたものとして扱われます。
在職中の給与からは社会保険料と所得税・住民税が引かれるため、額面に対する手取りはおおむね8割前後です。
育休給付は額面の67%ですが、そこから引かれるものがないため、休業前の「手取り」と比べると8割強が残る計算になります。
出生後休業支援給付金で13%が上乗せされる期間は80%になるので、手取りベースではほぼ休業前と同水準(実質10割相当)になります。
住民税は前年の所得に対して課税されるため、育休中も前年ぶんの請求が来ます。
給与天引き(特別徴収)ができなくなると、自分で納める普通徴収に切り替わることがあります。
金額は前年の年収によるので、手取り計算ツールで在職時の住民税額を確認しておくと備えやすくなります。
よくある質問
- Q. パート・契約社員でももらえますか?
- A. 雇用保険に加入しており、育休開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12ヶ月以上あれば対象です。
有期契約の場合は「子が1歳6ヶ月になるまでに契約が満了しないこと」が条件です。 - Q. 給付金はいつ振り込まれますか?
- A. 原則2ヶ月ごとの申請・支給です。
初回は育休開始から約2〜3ヶ月後になることが多いため、当面の生活費は見込んでおきましょう。 - Q. 育休を延長したら1年以降ももらえますか?
- A. 保育所に入れないなどの理由があれば、最長で子が2歳になるまで延長できます(支給率は50%)。
- Q. 育休中に少し働いたらどうなりますか?
- A. 月10日(または80時間)以下の就労であれば支給されますが、賃金額によっては給付が減額・不支給になる場合があります。
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育休中に免除されるのは「社会保険料」だけです
上で説明したとおり、育休中は健康保険・厚生年金の保険料が免除されます。
ただし生命保険や医療保険の保険料は免除されません。
収入が給付金だけになる期間も、これまでと同じ額を払い続けることになります。
子どもが生まれると必要な保障も変わります。
いま入っている保険が家族構成に合っているか、無料のFP相談で一度整理しておくと、復職までの家計に余裕が生まれます。
次回の改定は令和9年8月1日の予定です。
出典:厚生労働省「高年齢雇用継続給付金・介護休業給付金・育児休業等給付の受給者の皆さまへ」(令和8年8月1日改定・PDF)/厚生労働省 育児休業等給付。
実際の支給額はハローワークの決定によります。
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