103万の壁はどうなった?2026年は178万円|今あなたが見るべき壁を年収別に判定
最終更新:2026年8月11日|執筆:瀬尾 健一
103万円の壁は2年つづけて引き上げられ、2026年(令和8年)分では178万円になりました。
ただ、壁は1本ではありません。税金の壁・社会保険の壁・扶養の壁は、それぞれ別の金額で別のタイミングで効きます。
年収を入れると、いま自分がどの壁の内側にいて、次にどの壁が来るかを判定できるツールを用意しました。
- 103万円 → 160万円(令和7年分)→ 178万円(令和8・9年分)と2段階で上がった
- 🔴 178万円は「自分に所得税がかからない」上限であって、扶養の基準ではない。扶養に入れるのは136万円まで
- 🔴 手取りが減るのは税金の壁ではなく社会保険の壁(130万円)。税金の壁は超えても手取りは減らない
- 2026年10月に106万円の基準が撤廃され、社会保険は「週20時間」で判断されるようになる
| あと何円で届くか | — |
|---|---|
| その壁を超えると起きること | — |
| 自分に所得税がかかるか(178万円) | — |
| 税の扶養に入れるか(136万円) | — |
| 健康保険の扶養に入れるか(130万円) | — |
103万の壁は2段階で上がり、今は178万円
103万円という数字は、20年以上ほとんど動きませんでした。
それが2025年(令和7年)分で160万円、2026年(令和8年)分で178万円と、2年つづけて引き上げられています。
この金額は「基礎控除」と「給与所得控除」を足したものです。
どちらも国税庁の資料で確認できる確定した数字です。

| いつの分か | 基礎控除 | 給与所得控除の最低保障額 | 所得税がかからない上限 |
|---|---|---|---|
| 令和6年分まで | 48万円 | 55万円 | 103万円 |
| 令和7年分(2025年) | 95万円 | 65万円 | 160万円 |
| 令和8・9年分(2026年・2027年) | 104万円 | 74万円 | 178万円 |
※基礎控除の額は合計所得金額によって変わります。上の表は給与収入が206万円以下の場合です。
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」
つまり「103万円の壁」は、いま検索して出てくる160万円という説明も、すでに1年古いということになります。
2026年に働き方を考えるなら、見るべき数字は178万円です。
令和7年度の改正も令和8年度の改正も、施行はどちらもその年の12月1日です。
そのため1月から11月までの給与では天引き額が変わらず、12月の年末調整でまとめて精算されます。
「減税と言われたのに手取りが増えない」と感じるのは、この仕組みのためです。詳しくは178万円の壁|12月の年末調整で戻る金額を年収別に計算にまとめました。
壁は5本ある。今あなたが見るべきなのはどれか
「年収の壁」と呼ばれるものは1本ではありません。
2026年時点では、次の5本が並んでいます。効く相手も、超えたときに起きることも、全部違います。
| 壁 | 何の基準か | 超えるとどうなる | 誰に効くか |
|---|---|---|---|
| 106万円 (月8.8万円) | 勤務先で社会保険に入る基準のひとつ | 社会保険料の負担が始まる | パート・アルバイト 🔴 2026年10月に撤廃 |
| 130万円 | 家族の健康保険の扶養から外れる基準 | 自分で保険料を払うことになり手取りが大きく減る | 扶養に入っている人 |
| 136万円 | 税金上の扶養(扶養控除・配偶者控除)の上限 | 扶養している家族の税金が増える | 扶養している側の家族 |
| 178万円 | 自分に所得税がかかり始める額 | 超えた分にだけ5%課税(負担は小さい) | 本人 |
| 207万円 | 配偶者特別控除も受けられなくなる額 | 配偶者の税金がさらに増える | 配偶者がいる人 |
103万円という数字は、この表のどこにも残っていません。
103万円の壁は「なくなった」のではなく、178万円に移動したと考えるのが正確です。
ページ上部のツールに年収を入れると、この5本のうちどれを超えていて、次にどれが来るかを判定できます。
税金の壁を超えても手取りは減りません。減るのは社会保険の壁
ここがいちばん誤解されている点です。
「壁を超えると手取りが減る」という現象は、税金では起きません。
所得税は超えた分にだけかかります。
年収179万円の人は、178万円を超えた1万円に対して5%(+復興特別所得税)がかかるだけで、金額にすると500円ほどです。
働いた分は必ずプラスになります。

一方で社会保険は違います。
130万円を超えて家族の健康保険の扶養から外れると、自分で健康保険料と年金保険料を払うことになります。
年収130万円台なら年間で20万円前後の負担が新しく発生するため、働く時間を増やしたのに手取りが減るという逆転が起きます。
働き方を考えるときに本当に気にすべきなのは、178万円ではなく130万円のほうです。
厚生年金に入れば将来の年金が増え、病気やケガで働けないときの傷病手当金も使えるようになります。
手取りだけで見れば一時的にマイナスでも、保障は厚くなります。
130万円を超えたら、いくら稼げば手取りが元に戻るか
「130万円を超えると手取りが減る」という説明はよく見かけますが、では、いくらまで稼げば元に戻るのかまで書いてある記事はほとんどありません。
計算すると、答えは約152万円です。
扶養に入って年収130万円で働いている人は、所得税も社会保険料もかからないので手取りは130万円です。
ここから扶養を外れると、健康保険・厚生年金・雇用保険で年収の約14.7%を自分で負担することになります(協会けんぽ東京・40歳未満・令和8年度の料率)。
| 年収 | 社会保険料(本人負担) | 手取り | 扶養内130万円と比べて |
|---|---|---|---|
| 130万円(扶養内) | 0円 | 1,300,000円 | — |
| 130万円(扶養を外れる) | 190,970円 | 1,109,030円 | 🔴 19万円のマイナス |
| 140万円 | 205,660円 | 1,194,340円 | 🔴 まだマイナス |
| 150万円 | 220,350円 | 1,279,650円 | 🔴 まだマイナス |
| 約152万円 | 約223,000円 | 約1,300,000円 | ここでようやく並ぶ |
| 160万円 | 235,040円 | 1,364,960円 | ✅ 6.5万円のプラス |
| 180万円 | 264,420円 | 1,535,580円 | ✅ 23.6万円のプラス |

つまり年収130万円から約152万円までの約22万円ぶんは、働いても手取りが増えない帯になります。
ここを中途半端に狙うのがいちばん損で、抑えるなら130万円以内、超えるなら152万円より上を目指すのが計算上の結論です。
※40歳以上は介護保険料(約0.81%)が加わるため、元に戻る年収はもう少し上がります。住民税は別途かかる場合があります。料率は都道府県によって異なります。
扶養に入れる基準は136万円。178万円と混同しない
「178万円まで働いても大丈夫」という説明を見かけますが、これは自分に所得税がかかるかどうかの話だけです。
親や配偶者の扶養に入っていられるかどうかは、136万円で判定されます。
| 区分 | 合計所得金額 | 給与だけの場合の年収 |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者 | 62万円以下 | 136万円以下 |
| 特定親族(19歳以上23歳未満) | 62万円超123万円以下 | 136万円超197万円以下 |
| 配偶者特別控除の対象 | 62万円超133万円以下 | 136万円超207万円以下 |
| 勤労学生控除 | 89万円以下 | 163万円以下 |
136万円を超えると、扶養している家族の側の税金が増えます。
ただしいきなりゼロになるわけではなく、段階的に減る控除に切り替わります。
配偶者なら配偶者特別控除、19歳以上23歳未満の子どもなら特定親族特別控除です。
なお、この基準が上がったことでこれまで扶養から外れていた家族が、今年から対象になるケースがあります。
その場合は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に出す必要があります。出し忘れると年末調整で控除されません。
2026年10月に106万円の壁がなくなります
106万円の壁とは、勤務先の社会保険に加入する条件のひとつ「月額8.8万円以上」のことです。
厚生労働省は、この賃金要件を2026年10月に撤廃すると公表しています。
理由は、最低賃金が上がったことで週20時間以上働けば自動的に月8.8万円を超えるようになり、金額の基準を意識する必要がなくなったためです。
| 時期 | 社会保険に入るかどうかの判断 |
|---|---|
| 2026年9月まで | 週20時間以上+月額8.8万円以上+企業規模などの条件 |
| 2026年10月から | 週20時間以上(金額の基準がなくなる) |
| 2027年10月から | 企業規模の要件も段階的に撤廃(2035年10月まで) |
つまり2026年10月以降、判断の軸は「いくら稼いだか」から「週に何時間働いたか」に変わります。
年収を106万円に抑えても、週20時間以上働いていれば社会保険に加入することになります。
なお、従業員50人以下の会社などで新しく加入対象になり、標準報酬月額が12.6万円以下の場合は、3年間だけ保険料の負担を軽くする特例が用意されています。
パート・学生・副業で見る壁が違います
配偶者の扶養で働くパートの人
見るべき順番は130万円 →136万円 →178万円です。
最初に来る130万円(健康保険の扶養)が手取りへの影響がいちばん大きく、178万円は超えてもほとんど影響がありません。
2026年10月からは、金額より週20時間が先に効くようになります。
親の扶養に入っている学生
勤労学生控除の基準は年収163万円以下に上がりました(改正前は150万円)。
ただし親の扶養から外れるかどうかは136万円で、こちらは勤労学生控除とは無関係です。
19歳以上23歳未満なら、136万円を超えても197万円までは特定親族特別控除で親の負担がやわらぎます。
学生本人の税金より、親の税金がいくら増えるかのほうが金額が大きくなることが多いので、家族で確認してください。
会社員が副業をしている場合
178万円は給与収入に対する基準です。
副業が業務委託などの事業所得・雑所得なら、給与所得控除は使えません。
また、給与を2か所以上から受けていて年末調整されなかった分が20万円を超える場合などは、確定申告が必要になります。
いつから何が変わるか(2026年の年表)
| 時期 | 変わること |
|---|---|
| 2026年1月〜11月 | 給与から天引きされる所得税は改正前のまま。手取りは増えない |
| 2026年10月 | 社会保険の106万円(月8.8万円)の要件が撤廃 |
| 2026年12月1日 | 基礎控除・給与所得控除・扶養の所得要件の改正が施行 |
| 2026年12月 | 年末調整で1年分の所得税を精算。減税分がまとめて戻る |
| 2027年1月 | 新しい源泉徴収税額表に切り替わり、毎月の天引きが変わる |
| 2027年6月 | 住民税に反映(令和9年度分から) |
| 2027年10月 | 社会保険の企業規模要件が段階的に撤廃され始める |
よくある質問
Q. 103万円の壁はもうないのですか?
所得税の基準としては、すでにありません。
2026年分の基準は178万円です。ただし会社の家族手当・配偶者手当が「年収103万円まで」を条件にしている場合があり、この場合は勤務先の規定が優先されます。就業規則を確認してください。
Q. 160万円と178万円のどちらが正しいですか?
どちらも正しく、対象の年が違います。
2025年(令和7年)分は160万円、2026年(令和8年)分は178万円です。2026年に働く分を考えるなら178万円で判断してください。
Q. 交通費は年収に含まれますか?
基準によって違います。
所得税の178万円では、通勤手当は原則として非課税なので含めません。
一方社会保険の130万円の判定では通勤手当も収入に含めます。同じ「年収」でも中身が違う点に注意してください。
Q. 130万円を超えそうです。今から働く時間を減らすべきですか?
一時的に超えるだけなら、「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」という仕組みで扶養にとどまれる場合があります(残業などによる一時的な収入変動が対象・原則連続2回まで)。
恒常的に超えるなら、中途半端に抑えるより社会保険に入って働く時間を増やしたほうが、手取りの逆転を早く抜けられます。
Q. 178万円を超えると、いくら税金がかかりますか?
超えた分にだけ5%(+復興特別所得税2.1%)です。
年収200万円なら所得税は年間1万円前後で、2026年12月の年末調整で改正分が戻ります。
まとめ
- 103万円 → 160万円(令和7年分)→ 178万円(令和8・9年分)と2段階で引き上げられた
- 壁は5本ある(106万・130万・136万・178万・207万)。効く相手も影響もそれぞれ違う
- 🔴 手取りが落ち込むのは社会保険の壁(130万円)だけ。税金の壁は超えても手取りは増え続ける
- 🔴 扶養に入れるのは136万円まで。178万円は自分の所得税の話であって扶養の話ではない
- 2026年10月に106万円の基準が撤廃され、判断軸が「週20時間」に変わる
自分の年収でどの壁に当たるかは、ページ上部のツールで判定できます。
改正で12月にいくら戻るかは178万円の壁|12月の年末調整で戻る金額を年収別に計算、月々の手取りそのものは給与手取り計算シミュレーターで確認してください。
年末調整そのものの流れと還付の時期は年末調整の還付金はいつ・いくら戻るかにまとめています。
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扶養を外れるかどうかは、世帯全体で決めたほうが早い
壁の金額は調べれば分かりますが、自分の家庭にとってどこで働くのが得かは、配偶者の年収・子どもの年齢・将来の年金まで含めないと決まりません。
社会保険に入って働く時間を増やすほうが有利になる家庭もあれば、扶養にとどまるほうがよい家庭もあります。
世帯単位で試算してくれる無料のFP相談があります。相談だけで加入を求められるものではありません。
本ページの「103万円→160万円→178万円」の推移と内訳(基礎控除・給与所得控除の額)、および5本の壁の一覧は、国税庁・厚生労働省の公表資料をもとに当サイトが整理したものです。
出典として「マネー計算ラボ」とこのページのURLを明記していただければ、記事・資料・SNSでご自由にお使いいただけます。
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」(PDF)
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
- 厚生労働省「「年収の壁」への対応」
最終更新:2026年8月11日