65歳以上の失業保険はいくら?高年齢求職者給付金と、64歳で辞めた場合の差

最終更新:2026年8月7日|執筆:瀬尾 健一

65歳以上で退職した場合、受け取れるのは「高年齢求職者給付金」という別の制度です。
金額は50日分か30日分の一時金。64歳までの基本手当(最大150日)と比べると大きく減ります。
ただし年金が止まらないという利点があり、単純に「65歳前に辞めたほうが得」とは言えません。

65歳の誕生日の前日が分かれ目です 64歳まで(65歳到達日の前日まで) 給付 基本手当 最大150日分 形式 4週間ごとに分けて支給 年金 特別支給の老齢厚生年金は全額停止 期間 1年+最大1年の延長ができる ※日数は定年退職・被保険者期間20年以上の場合 65歳以降 給付 高年齢求職者給付金 50日分 形式 一時金でまとめて支給 年金 止まりません(併給できます) 期間 1年のみ。延長はできません ※被保険者期間1年未満なら30日分 出典:厚生労働省「高年齢求職者給付金のご案内」/日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」をもとに当サイト作成
図1:日数だけを見れば64歳までが有利ですが、年金が止まる点と、休養したいときに受給期間を延長できる点まで含めて考える必要があります。

65歳以上の失業保険は「高年齢求職者給付金」という別の制度

雇用保険では、65歳以上で雇われている人を「高年齢被保険者」と呼びます。この人が失業したときに支給されるのが高年齢求職者給付金です。

64歳までの人が受け取る「基本手当」(一般に失業保険と呼ばれるもの)とは、名前も仕組みも違います。いちばん大きな違いは次の2点です。

なお、2017年1月から65歳以上の人も雇用保険の適用対象になりました。それ以前に65歳を過ぎて雇われた人は加入できませんでしたが、現在は年齢の上限なく加入します。

いくらもらえる?——50日分か30日分の一時金

支給額は「基本手当日額 × 支給日数」で決まります。支給日数は雇用保険に入っていた期間だけで決まり、退職理由では変わりません。

被保険者であった期間高年齢求職者給付金の額
1年以上基本手当日額の50日分
1年未満基本手当日額の30日分

基本手当日額は、離職前6ヶ月に支払われた賃金の合計を180で割った額(=賃金日額)のおよそ50〜80%です。賃金が低い人ほど給付率が高くなる設計で、上限額と下限額も定められています。

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65歳以降は、給付より「年金といつ受け取るか」の影響が大きい

高年齢求職者給付金は一時金なので、金額としては50日分または30日分で終わります。
この年代で手取りを大きく左右するのは、年金をいつから受け取るか働きながら受け取る場合の調整のほうです。
受給開始の時期を含めて試算してくれる無料のFP相談があります。相談だけで加入を求められるものではありません。

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上限額について:基本手当日額の上限は年齢の区分ごとに定められていますが、雇用保険法第37条の4は高年齢求職者給付金の計算にあたって年齢区分の規定(第17条第4項第2号)を適用しないと定めています。
ハローワークの案内では過去に「上限6,405円(平成25年8月1日現在)」と示されており、これは当時の30歳未満の区分と同じ額です。本ページの計算ツールもこれに合わせ、2026年8月1日改定後の30歳未満の上限額(7,450円)を使っています。
実際に適用される額はハローワークの決定によりますので、正確な金額は手続き先の窓口でご確認ください。

月給別の早見表——実際にいくらになるか

下の計算ツールと同じ式で、代表的な月給を先に計算しました。65歳以上の高年齢求職者給付金の金額です。

退職前の月給賃金日額基本手当日額50日分
(被保険者期間1年以上)
30日分
(1年未満)
15万円5,000円4,000円200,000円120,000円
20万円6,667円5,037円251,850円151,110円
25万円8,333円5,776円288,800円173,280円
30万円10,000円6,307円315,350円189,210円
35万円11,667円6,630円331,500円198,900円
40万円13,333円6,744円337,200円202,320円
50万円16,667円7,450円372,500円223,500円

月給が上がっても金額が伸びにくいことがわかります。月給40万円と50万円で50日分の差は35,300円しかありません
賃金が高くなるほど給付率が下がり、最後は上限で頭打ちになるためです。逆に月給15万円なら日額は賃金日額の80%が適用されます。

【計算ツール】64歳で辞める場合と65歳以降に辞める場合を比べる

「65歳になる前に辞めたほうが得なのか」は、年金を受け取っているかどうかで答えが変わります。両方を並べて計算します。

手取りで見て有利なのは

64歳で辞める
(基本手当)
65歳以降に辞める
(高年齢求職者給付金)
基本手当日額
支給日数
給付の合計
止まる年金0円
差し引きの手取り

※基本手当日額は2026年8月1日改定の上限・下限で計算しています。

年金を受け取っていない場合(入力を0にした場合)は、給付日数が多い64歳での退職が有利になります。
一方、特別支給の老齢厚生年金を受け取っている場合は、その金額次第で逆転します。停止される期間が長いためです。

基本手当との違いを一覧で確認する

項目基本手当(64歳まで)高年齢求職者給付金(65歳以上)
支給日数90〜150日
(会社都合ならさらに多い)
30日分または50日分
支給のしかた4週間ごとに分割一時金で一括
失業の認定原則4週間に1回、繰り返し1回のみ
受給期間・期限離職の翌日から1年
(60歳以上の定年退職なら最大1年の延長ができる
離職の翌日から1年
延長はできません
65歳前の老齢年金全額支給停止対象外(そもそも65歳以降)
65歳以降の老齢年金止まりません
待期7日7日
給付制限(自己都合)原則1ヶ月原則1ヶ月

受給期間の延長は見落とされがちな差です。60歳以上の定年退職でしばらく休養したい場合、基本手当なら「1年+休養したい期間(最大1年)」まで受給期間を延ばせます。申請は離職した日の翌日から2ヶ月以内です。
高年齢求職者給付金には、この延長制度がありません。

年金と同時に受け取れるか——ここが最大の分かれ目

日本年金機構は「特別支給の老齢厚生年金などの65歳になるまでの老齢年金と、雇用保険の失業給付は同時には受けられません」と明記しています。

止まり方は次のとおりです。

年金が止まるのは「65歳になるまでの老齢年金」だけ 64歳で基本手当を受ける場合 求職の申込み 申込みの翌月から、受け終わった月まで年金は全額停止 3ヶ月程度後に再開 65歳以降に高年齢求職者給付金を受ける場合 老齢厚生年金は止まりません。給付金と両方受け取れます 出典:日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」(2024年9月30日更新)をもとに当サイト作成
図2:調整の対象は「65歳になるまでの老齢年金」です。65歳以降に受け取る老齢厚生年金は対象外なので、高年齢求職者給付金と併給できます。

なお、基本手当を受け取らなかった月の年金は、すぐには支払われず3ヶ月程度あとの支給になります。受給期間が終わったあとの年金の再開も同じく3ヶ月程度かかります。手続きのあいだ、生活費が一時的に細くなる点は見込んでおいてください。

受給期限は1年。しかも延長できません

高年齢求職者給付金を受け取れるのは、離職日の翌日から1年です。手続きが遅れると、その分だけ受け取れる日数が減ります。

厚生労働省の案内には、次のような例が示されています。

手続きが遅れると、50日分のうち15日分しか受け取れない例 離職日の翌日 受給期限(1年) 待期7日 15日分 35日分は支給されない 遅れて求職申込み → 被保険者期間1年以上なら本来50日分。期限を過ぎた分は戻ってきません。 出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」の例をもとに当サイト作成
図3:基本手当と違い、高年齢求職者給付金には受給期限の延長制度がありません。離職したら早めに手続きしてください。

受け取るための2つの条件

次の2つを両方満たす必要があります。

  1. 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること
    離職日から1ヶ月ごとに区切り、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1ヶ月と数えます。11日以上の月が6ヶ月ない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月を1ヶ月として数えます。
  2. 失業の状態にあること
    「就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず就職できない状態」を指します。

受け取れないケース

働く意思・能力がないと判断されると支給されません。厚生労働省が挙げているのは次のような場合です。

状況補足
家事に専念する方
学業に専念する方昼間学生、またはこれと同様の状態
家業に従事し職業に就くことができない方
自営を開始、または自営準備に専念する方求職活動中に創業の準備・検討を行う方は支給可能な場合があります
次の就職が決まっている方
自分の名義で事業を営んでいる方
会社の役員などに就任している方就任の予定や名義だけの役員も含みます
就職・就労中の方試用期間を含みます
パート・アルバイト中の方週の労働時間が20時間未満なら支給を受けられる場合があります
雇用保険の被保険者とならないような短時間就労のみを希望する方

退職後に会社の顧問や役員として名前だけ残す、というケースは実際にあります。名義だけでも対象外とされている点に注意してください。

待期7日と給付制限

離職票の提出と求職の申込みを行った日から、失業の状態にあった日が7日間経過するまでは支給されません。これを待期といいます。

さらに自己都合で退職した場合は、待期のあとに1ヶ月の給付制限があります。

離職の理由給付制限
自己都合(2025年4月1日以降の離職)1ヶ月
自己都合(2025年3月31日以前の離職)2ヶ月
自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇3ヶ月
定年退職・会社都合など原則なし(待期7日のみ)

受給期限は1年しかないため、給付制限がつくとその分だけ手続きに使える時間が減ります。

手続きの方法と必要なもの

住所を管轄するハローワークで、ご自身で求職の申込みなどの手続きをします。

持ち物補足
離職票-1、離職票-2
マイナンバーカードない場合は個人番号確認書類+身元確認書類
写真1枚タテ3.0cm×ヨコ2.4cm。マイナンバーカードを提示すれば省略できます
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード一部の金融機関を除く

求職の申込み自体はどのハローワークでも受け付けていますが、雇用保険の受給手続きは住所を管轄するハローワークで行う必要があります。

いつ振り込まれる?

ハローワークは、待期および給付制限の期間が経過することが見込まれる日から2週間を超えない範囲で失業の認定日を指定します。

そして認定日に失業の認定を受けた日から、金融機関の5〜7営業日目に、あらかじめ指定した本人名義の普通預金口座へ振り込まれます。

失業の認定は1回だけです。基本手当のように4週間ごとに認定日へ通う必要はありません。求職活動の実績も、基本手当ほど厳しくは求められません。

税金はかかる?——かかりません

高年齢求職者給付金に所得税・住民税はかかりません。雇用保険法に次の定めがあるためです。

雇用保険法第12条(公課の禁止)
租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。

高年齢求職者給付金は失業等給付のひとつなので、この規定が適用されます。確定申告で収入として申告する必要もありません。

あわせて、同法第11条により、受け取る権利を譲り渡したり、担保に入れたり、差し押さえたりすることもできません

失業保険を受給中に65歳になったらどうなる?

基本手当を受け取っている途中で65歳の誕生日を迎えても、高年齢求職者給付金に切り替わることはありません

どちらの給付になるかは「離職した日」の年齢で決まるためです。64歳で離職して基本手当の受給資格を得ていれば、受給の途中で65歳になっても、そのまま所定給付日数分を受け取れます。

ただし、この場合も基本手当を受けている間は、65歳になるまでの老齢年金(特別支給の老齢厚生年金)は止まったままです。

70歳・75歳でも受け取れる?

受け取れます。高年齢求職者給付金に年齢の上限はありません。70歳でも75歳でも、条件を満たしていれば支給されます。

また、受給できる回数にも制限がありません。基本手当のように「前回の受給から一定期間空ける」という決まりがないため、要件(離職前1年間に被保険者期間6ヶ月以上、失業の状態)を満たすたびに受け取れます。

2017年1月からは、65歳以上で新しく雇われた場合も雇用保険に加入するようになりました。65歳を過ぎてから就職しても、6ヶ月以上働けば次の離職時に受給できます。

定年退職で辞める場合に押さえておきたいこと

定年退職は自己都合による退職にはあたらないため、給付制限は原則としてつきません(待期7日のみ)。

そのうえで、64歳までに定年を迎える場合は次の2つを検討してください。

  1. しばらく休養したいなら、受給期間の延長を申請する
    60歳以上の定年等で離職し、すぐには働かないつもりなら、受給期間を「1年+休養したい期間(最大1年)」に延ばせます。申請は離職した日の翌日から2ヶ月以内です。この間は基本手当を受け取れませんが、期限切れで権利を失うことは避けられます。
  2. 年金を受け取っているなら、求職の申込みのタイミングを考える
    求職の申込みをした月の翌月から年金が止まります。受け取るつもりがないのに申込みだけ先にしてしまうと、年金だけ止まることになりかねません。

65歳を過ぎてから退職する場合は、そもそも延長の制度がないので、離職したら早めに手続きしてください。

よくある質問

Q. 65歳以上でも失業保険はもらえますか?
A. もらえます。ただし65歳未満の基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」という別の制度になります。
離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あり、失業の状態にあることが条件です。
Q. いくらもらえますか?
A. 被保険者であった期間が1年以上なら基本手当日額の50日分、1年未満なら30日分です。
基本手当日額は離職前6ヶ月の賃金をもとに計算され、賃金日額のおよそ50〜80%(賃金が低い人ほど高い給付率)になります。
Q. 年金と同時に受け取れますか?
A. 受け取れます。年金が止まるのは「65歳になるまでの老齢年金」と基本手当の組み合わせです。
65歳以降に受け取る老齢厚生年金は調整の対象外なので、高年齢求職者給付金と併給できます。
Q. 65歳になる前に辞めたほうが得ですか?
A. 給付日数だけを見れば64歳までのほうが多くなります(定年退職・被保険者期間20年以上なら150日、65歳以上は50日)。
ただし特別支給の老齢厚生年金を受けている場合、基本手当を受け取ると年金が全額停止されるため、単純には比較できません。上の計算ツールで両方の金額を確認してください。
Q. 一括で支給されますか?
A. はい。基本手当のように4週間ごとに分けて支給されるのではなく、失業の認定を受けたあとに一時金としてまとめて支給されます。
失業の認定も1回だけです。
Q. 受給期限を過ぎるとどうなりますか?
A. 期限を過ぎた分は支給されません。厚生労働省の資料では、手続きが遅れて50日分のうち15日分しか支給されなかった例が示されています。
しかも高年齢求職者給付金には受給期限の延長制度がありません。離職したら早めに手続きしてください。
Q. 何回でも受け取れますか?
A. 受給の要件(離職前1年間に被保険者期間6ヶ月以上、失業の状態)を満たすたびに受け取れます。
基本手当のように「前回の受給から一定期間空ける」という制限はありません。ただし、そのつど6ヶ月以上の被保険者期間が必要です。
Q. パートやアルバイトをしながらでも受け取れますか?
A. 就職・就労中の方は原則として対象外ですが、週の労働時間が20時間未満の場合は支給を受けられることがあります
個別の判断になるため、ハローワークにご確認ください。
この記事の前提(2026年8月7日確認):金額は厚生労働省が公表している2026年8月1日改定後の基本手当日額(上限・下限)にもとづく試算です。
高年齢求職者給付金の基本手当日額の上限については、本文中に記載のとおり法令上の扱いに注意が必要です。実際に適用される額はハローワークの決定によります。
年金の支給停止額は、停止される月数を「支給日数÷30の切り上げ+1ヶ月」として概算しています。実際の停止期間は求職申込日や受給の状況によって前後します。
個別の受給可否・金額は必ずハローワークおよび年金事務所でご確認ください。
出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」(PDF)同「賃金日額等の改正前後の金額について」(PDF)日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」大阪労働局「受給期間の延長」ハローワークインターネットサービス「基本手当について」

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